一万ヒット感謝企画SS。

□悪夢の後に。
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じっとりと嫌な汗をかき目が覚める。


「…夢、か…。」


隣ですぅすぅと気持ち良さそうな寝息を立てる彼女は昨夜のままで。ほっと安心した。
それにしても、嫌な夢だった。手を伸ばして掴んだ彼女が消えてしまう、どんなに叫んでも走ってもひたすら暗闇で。この胸に抱いた、彼女の温もりだけが残った。

もう、すれ違うのはごめんだ。

何処にもいけないよう閉じ込めていたくて手を伸ばしかけ、止まる。掴んだら、また消えてしまうんじゃないだろうか…。怖くて。


「…ん、利吉、さん?」


見られている気配でも感じたのか、彼女がまだうっすらとしか開いてない目を擦りながら不思議そうに私を見詰める。


「…名無しさん、どうした?」


名を呼ぶと、昨夜のことを思い出したのか顔を赤らめる。彼女は距離を詰めるとそれを隠すように私の胸に埋める。直に触れた体温が、柔らかい彼女の感触が消えてしまわないように今度こそ包み込む。

もっと、しっかり感じたい。




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