一万ヒット感謝企画SS。

□ありのままで。
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外はもう明るい。格子から朝の強い日差しが差し込んで外では雀がチュンチュン鳴く声が響く。

起きないかなー。起こしちゃおうかなー。

こうして昨夜のままの姿で気持ち良さそうに寝ている彼女の顔を布団から出ずに寝転んだまま、肘を立てた上に顔を乗せて少し上からずっと眺めていた。


「名無しさん!おはようっ!今日もかわいいなっ!好きだっ!」


視線を感じたのか、眩しくなって自然と目が覚めたのか、雀の声に起こされたのか。僅かに彼女の長い睫毛が揺れて、それが開かれるのを待てずに見つめている間ずっと音にしたかった想いを口にする。


「お、おは」
「好きだっ!大好きだっ!」


目をぱちくりさせた彼女は何故か顔を耳まで赤く染める。そして、ほんの少し何かを決意したような瞳に変わって口を開く。


「うん…。わ、私もす」
「そんなことは知ってるぞ!昨夜、充分に伝わった!」


そう言ってまだどこか不安げな彼女の唇に自分のそれを重ね合わせる。
どうしようもないくらい、好きが溢れて押さえきれない。

何度でも伝えよう。

言葉では伝えきれないから、たくさん口付けるんだ。
不安だから肌を重ねるんじゃない。
愛しくてたまらないから、一つになりたいと願うんだ。

駆け引きなんて意味はない。
溢れそうな想いなら、押さえる必要もない。

抱き合えば伝わる確かな温もりを、
全部、知りたい。
全部、伝えたい。
全部、欲しい。
全部、あげよう。
ずっと、ずっと、これからも。


「好きだ、大好きだっ!」





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