一万ヒット感謝企画SS。
□寝言。
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ゴスッ。
一瞬、敵襲かと思った。寝ていて油断しているところに腹部に重みを感じて、隣に寝ていた彼女のことを思い出す。どのくらい寝たっけ?たぶんまだ一刻くらいだろうな。目を開けようとするとそこに恐らく彼女の腕が落ちてきて視界が遮られる。
「おいっ。名無しさん、起きろ。」
「…。」
気持ち良さそうな寝息だけが隣から聞こえてくる。全く、余韻も何もあったもんじゃねーな。
仕方がなくため息をついて自由な左手で顔の上に乗った彼女の腕を退かす。
「…。」
右腕に感じる重みに視線を向ければ、幸せそうに眠る彼女が。昨夜のままで布団からのぞいた華奢な肩に、その柔らかさと下で羞恥に染まる顔を思い出す。
「あー、くそっ。」
…あんな顔もちゃんと出来るんじゃねーかよ。彼女が持つ雰囲気から正直、甘い夜なんて期待してなかったし、口付け以上に進むことが出来る日が来るなんて思ってなかっただけに今この状況は予想の範囲外のことで。こちら側に寝返りを打つ彼女にドキリと鼓動が羽上がる。
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