雑渡さんと一緒っ!
□十章 本音 の段
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「や、やだっ!ぎゅってしないでよっ!」
「良い目付きだな。気に入った!八方斎!ワシはこれを側室とするぞっ!」
「ははぁっ!」
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事の発端は陣くんが出ていってすぐのことだった。入れ違うように今度は八方斎とこの間、助けたおじさんが入ってきたことに驚いた。
「お、おじさん!」
「ワシはおじさんなどではないっ!ドクタケ城城主、木野小次郎竹高であるっ!」
「!」
身なりがよく、えらく威張っていたのでどこぞのお金持ちくらいには思っていたけれど、まさか、ドクタケの殿様だったなんて。驚いた。
「おい、八方斎!」
「はっ!」
「なんで、ワシが来ているのに奥の奴は起きてこないのだっ!?」
「そうですな。様子がおかし」
「あのっ!木野小次郎竹高様っ!」
まずい。彼に話題がいかないようにしなくては。見つかりでもすれば陣くんどころかタソガレドキが危ういことくらい私でも想像できた。とっさに城主を呼ぶと、じろりと睨まれる。
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