彼岸花

□2. 迷い人 の段
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食堂の方を向き渡り廊下の手前で、お目当ての人が来るのを待っていた。教室になんて行ったら迷惑だろうし、何より場所が分からない。
もともと場所の位置関係を把握するのが苦手で食堂も最近やっと人に聞かずに辿り着けるようになった。


「今日も会えないのかな…。」


もう、ここへ編入して二週間なのにまだ会えない。やっぱり、人に聞いて教室に会いに行こうか。そわそわとどうしようか迷っていると、渡り廊下の方から人が飛び出すように出て来て何もないところに躓き盛大に転けた。


「だ、大丈夫ですか?」

「うう…。」


私は急いで駆け寄ると、しゃがみこんで彼を覗き見る。顔面を打った彼は一瞬そのまま固まった。この人…なんで、教科書を離して手を着かなかったんだろう…。




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