彼岸花

□3. 冷静な判断 の段
1ページ/4ページ



「それでね、名無しさんちゃんってば小平太の双子の妹だったんだよ!今年からくノ一教室の四年に編入したんだって!」

「ふーん。」

「ねぇ!ちょっと、留三郎ってば、聞いてる!?」

「あー、聞いてる、聞いてる。」


伊作は昨日からずっとこの調子だ。
ぽーっとして部屋へ帰って来たと思ったらいきなり「一目惚れしちゃったかも…」と言い出したのは新年度が始まって間もない、入学式の日。俺たちは案内係で、伊作が一人で受付に名簿を取りに行って帰って来てからだった。


「あ、そう?でね、"何もないところで転ぶなんて伊作さんって面白いですねー"って笑うんだよ。小平太のとこまで連れていって上げたんだけど、小平太ってば忍術学園に編入したの知らなかったみたいですっごい驚いてたんだよ!おしとやかな子かと思ってたけど、結構いたずらっ子みたいなんだ!」

「へー。」


そりゃ、あんだけ盛大に転けりゃ笑うだろ。と、いうか兄に隠すなんてイタズラというレベルでもないような気がするけどな。その話を聞いて、一癖ありそうな奴だな、と思った。そもそも、小平太に双子なんて初耳だった。一年から一緒にいて、なんで小平太は秘密にしてたんだろう?






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ