彼岸花
□4.彼女の秘密? の段
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それは、部屋の前まで送り届けて、帰ろうとしたときだった。
「じゃあ、また明日ね。」
「あ、あの!…もう少しだけ…いいですか?」
今まで何を話しかけても心ここに非ずで、ぼんやりと相づちを打つだけだった彼女が突然、踵を返した僕の袖を引く。驚いて振り返ると、すがるような瞳を僕に向ける。
「えっ?どうしたの?」
「…部屋に。」
顔を下にそらし、戸が開けられる。男の性なんだろうか、そんなはずは無いことはわかっているけど…わかっていても、僕の心臓はどうにかなりそうなくらいに煩くて何かを期待しているようだった。
「ダメ、ですか…?」
「っ!」
返事ができずにいる僕の手を引き中へいれると彼女は戸を閉めた。
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