彼岸花

□7.たぶん、それは の段
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「留三郎っ!」

「わりぃ、待たせたな。」


久しぶりに会った彼女はくのたまの六年で、俺の姿を見つけると嬉しそうに微笑む。今回の彼女とは珍しく続いていて、もうすぐふた月…いや、み月だっけ?まあ、そのくらいになる。


「もうすぐ付き合い初めて半年だねっ!」

「…ああ。そうだな。」

「…絶対に忘れてたよね?まあ、いいんだけど。久しぶりに会えたのにこんなくらいで喧嘩なんてしたくないし。そう言えば、怪我はどう?」


こいつと続いていられる理由はこれだ。女というものは俺が気にもならないような細かいことが気になるようで、会うたびに謂れのない言いがかりで質問攻めにあい段々と会うこと事態が億劫になって遠ざかってきたところで『別れてほしい』が今までの定番だった。しかも、別れを切り出したのは向こうなのに了承するとまた騒ぐ。だいたい、お互いに忙しいのは分かっているんだから毎日会うのを強要されるのはしんどい。


「大したことねぇよ。大丈夫だ。それより、この間はすっぽかして悪かったな。」







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