let go...

□8.追想 翻弄 の段 (前編)
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「気持ちいい。」


彼は忙しいため、そんなに遠くへ行くほどの休暇は取れず、温泉宿は割りと近かった。宿へ着くと、まずは疲れを癒そうと言うことになり私は、露天風呂に浸かっていた。真ん中で竹で出来た仕切りがあり男湯と女湯で分かれる。一昨日の雨のせいか客は他に一人だけらしく殆ど貸しきり状態だった。


「兄ちゃーん、広いよぉっ!」

「秀作、走るなよ。転けるぞってうわっ!」


バッシャーン

秀作さんに巻き込まれたようで、優作さんの怒る声が聞こえる。バシャバシャと子どもでもいるように隣は騒がしい。
それがなんだか微笑ましくて。楽しい。
子が…産まれたらこんな風になるのかな。彼とならあったかい家庭になりそうだな。





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