福の神は誰の手に の段

□福の神は誰の手に の段 三
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仕事前にちょっと寄っただけだった。

小松田くんは入門表を私から受けとると「学園長の指示で今から朝礼なんですぅ。」と池の方へ行ってしまった。

父上も彼女もいるなら、手っ取り早いと朝礼場所に行ってこっそり様子を探る。なるほど、節分を利用して騒ぎをおこすつもりか。

父上への言付けをさっさと済ませ彼女に挨拶をして面倒事に巻き込まれる前に仕事に取りかかろう。と思ったが彼女が見当たらない。
そっとその場を後にして彼女の気配を探ると、簡単に見つかった。


「また、迷っているのか…。」


一人で挙動不審になっている。ちょっと驚かしてやろうと、屋根裏から彼女の後ろ側に降りた。


「名無しさんさん。また迷子ですか?」

「あっ!利吉さん!」


振り向き様に彼女が一瞬見せた表情は明らかに誰かと勘違いしたようで。その誰かに心当たりのある私はひじょーーーに面白くなかった。




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