福の神は誰の手に の段

□福の神は誰の手に の段 七
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彼女の声がしたような、気がした。
いつの間にか彼女の窮地を察してしまうのが特技になってしまっていた。

だけど、今日は利吉くんがいる。
彼が側についてる限り、大丈夫だ。

それよりも、生徒達がまた何かやらかさないように見張ってなくては…。
他にも、補習のプリントを作ったり宿題のチェックをしたりとやることは山のようにあった。

何かしなくては…。
頭で分かっていても、利吉くんと二人きりだと思うとどうしても集中できないでいた。


「半助、もう、奪いに行っちゃったら?」


さっきからそわそわと机と戸を行ったり来たりしていたために山田先生が呆れ顔で確信を突いてくる。


「い、いや!そ、そんなつもりは…!」


ないとは言いきれない私に彼はため息を付く。


「私は、別にどっちでもいーんだけどね。名無しさんちゃんが嫁に来たら助かるし。」

「よ、嫁!?」

「半助が行かないなら、利吉が奪っちゃうだろ。若いんだし。」

「や、山田先生っ!そんなこと当てにしないで、家に帰ってあげたらどうです!?」



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