伝えたいから伝わらない の段
□伝えたいから伝わらない の段 五
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僕たちは事前に先生達が調べてくれていた情報を元にいくつかの作戦を練った。名無しさんさんが囚われている独房へは二人で、土井先生と怪我を負わされているかもしれないので善法寺伊作くんが。
本当は僕も行きたかったけど、ぐっと堪える。
残りは何かあったときの為に外で待機。
「ここまでは必ず連れてくるから。小松田さん、後は頼みましたよ。」
善法寺くんに言われ、僕は力強く頷く。
土井先生と善法寺くんが行ってしまうとどうにも落ち着かず、うろうろしていた。
「小松田さーん、そんな怖い顔してちゃせっかくここまで連れて来れても名無しさんさん帰ってきませんよっ!」
「まあ、落ち着け。」
乱太郎くんと七松くんに言われ、自分が今、どんな顔してるのか知った。いけない!こんなんじゃ、安心させてあげられない!いつも通り、いつも通り。
「声に出とるぞ。」
山田先生が呆れたように、仕方ないなという風に注意する。すると、土井先生から、敵に見つかったときの合図が送られる。援軍は…要らないみたいだ。
少ししてから塀を越えて誰か来る。全員に緊張が走る。
善法寺くんと、彼に抱かれているのは…
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