ゆめへ…short
□二度目の初恋 の段
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部屋に戻る途中、雲一つない何処までも澄んだ空を見上げると、また一つため息が漏れた。
「惚れたのかな?」
言葉にすると、逃げようがなく、嫌でも自覚させられる。
いつからだろう?
初めは危なっかしくて、目が離せなくて。
まさか、あんな年下に自分が特別な感情を抱くなんて思ってもみなくて。
あからさまな好意に甘えて、自分の気持ちを誤魔化して来たのに…。
「どうしたもんかなあ。」
「生徒でもあるまいし、いいんじゃないか?少々、見た目は幼いがお似合いだと思うがなあ。」
「!」
いきなり、心を見透かすように独り言に返事が割り込んできた。
「や、や、や、や、山田先生っ!?ど、どうして!?」
「なんだ、半助。私が私の部屋に帰ってきちゃいけないのか?」
山田先生が不思議そうな顔をしてこちらを見やる。
「い、いや、そう言うわけではなく…。」
「いいじゃないか。あんなにお前を好いているんだ。青春だなあ。」
やはり、周りから見てもそうなのか。
だけど、私が名無しさんさんを知ったのは配達に来だしてから。なのに、彼女はまるで前から知っていたように慕ってくれる。
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