ゆめへ…short

□風邪の日 の段
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何も知らない伊作は「いいって!」と言うが、罪悪感が拭えない。
軋む体をやっと起こし、伊作の持ってきた雑炊を口に運ぶ。


「…まずい。」

「えっ!そ、そんなこと言っちゃダメだよっ!」

「お前こんなに下手だったか?」

「ち、違うよっ!僕じゃなくって。」


焦る伊作を不思議に思う。おばちゃんがこんな失敗するとは思えないし、伊作が作ったわけでもないと言う。


「悪かったわね。料理へたで。」

「…名無しさん!」

「ご飯の用意は、いつも、あに様がしてくれたから作ったことないのよ…。」

「お前、これじゃ嫁の貰い手ないぞ。」

「と、留三郎っ!」


廊下にでもいたのだろうか。頬を膨らませて部屋に入ってくる彼女に、なるほどと思った。
兎に角、味のないそれには沢山の野菜と卵、結構な大きさで切られた鳥の肉が入っている。しかし、病人にこんな大量についでくるか?



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