ゆめへ…short
□落ちたい!? の段
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「おー。」
「…あのねぇ。学園内に落とし穴仕掛けるってどういう神経してるのよっ!」
深めの落とし穴に落ちた私を、何を考えているかよく分からない涼しい顔で上から見下ろすのはこれを作った張本人の綾部喜八郎。
「それにしても…よく落ちますねぇ。名無しさんセンパイ。」
「…綾部、喧嘩売ってる?買うよ?買っちゃうよ?高値で買っちゃうよ?」
「そんなこと言っていいんですか?…埋めますよぉー。」
冗談とは思えないその静かな狂気にゾクリと背筋が凍る。学園にいるときから何かと掴めない奴ではあったけれど、私が卒業してからはその謎がさらに深まった。
私は去年、ここを卒業した。
くの一不足も相まってそこそこに腕のたつ私はそれこそ引く手あまたではあったが、そもそも食べていければよかったのでフリーのくの一になった。まあ今ではしょっちゅう学園長から依頼をされているので事実上の忍術学園お抱えくの一のようなものだけれど。
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