伝えたいから伝わらない の段

□伝えたいから伝わらない の段二
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「君たちには教えないよ。だって、二人きりの秘密だもん。」

「へっ?」


その言葉に何もなかったはずなんだけど、と頭を捻るが彼は照れくさそうに、嬉しそうに此方を見てくる。それを見て思いっきり誤解したような二人は動揺しているのがみてとれた。


「っ!あのな、タソガレドキのくノ一。たらし込むなら自分の部屋でやれ。」

「と、留三郎!」

「それとな、何を企んでいるかは知らんが、へっぽこ事務員を一人取り込んだくらいで図に乗るな。」

「留三郎ってばっ!」

「黙ってろ、伊作。いいか、覚えとけ。他の奴に手を出したりしたら、容赦しないからな。誰もタソガレドキのくノ一を受け入れた覚えはない。」

「もぉ〜!留三郎ったらぁっ!言い過ぎだよっ!」


そういうと、食満くんは出ていった。善法寺くんも後を追うように出て行く。

何も、言えなかった。誤解を解くようなことは言っても逆効果だと思ったし、何よりもっともな言い分だ。


「ごめんなさい。また、迷惑を掛けてしまいました。誤解は…小松田さんから解いてくださいね。」


優しくしてくれる彼を巻き込んでしまって、申し訳なくて私は下手くそな笑顔を彼に向ける。





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