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□white cat
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こんな幸せな時間がいつまでもつづくと思っていた。
けれど、彼女は交通事故に巻き込まれ死んでしまった……。




「俺の子猫ちゃん?君が毎年楽しみにしていた、この桜、今年も満開になったよ。」





「ねぇねぇ」
「なんだい?」
「次の休みに、私の家の近くにある神社の桜を仁と見に行きたい!」
「構わないよ。子猫ちゃんは桜好きなんだね。」
「うん!」






「……」
木の幹に触れながら思い出していた。


「君に会えるのなら、もう一度会いたい。」

ニャーン

「猫……か。白猫ちゃん?お前どこから来たの?」

白猫は足にすり寄ってくる。
撫でてやると気持ちいいのか喉をゴロゴロ鳴らしている。

「奈菜に似てる気がする。もしかして俺の子猫ちゃんが、本物の猫になった……?」

ニャーン
と一鳴きすると、走って何処かへ行ってしまった。
猫を追いかけようと立ち上がると、目も開けてられないほどの風が吹いた。



ありがとう
ごめんね




「っ!?」
一瞬だけふいた強い風の中、彼女の声が聞こえた。
急いで辺りを見回してみるが、誰もいない。

「ありがとう……は俺の方だよ。俺と出会ってくれて、好きになってくれて……ありがとう。
これからも愛してるよ。俺の大好きな奈菜。」





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