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□風邪を引いたときは……
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「えっと……?自分で歩けるよ?」
「立っているのも大変なんだろう。」
「う……そうなんだけど、重いでしょ?」
「重くない。むしろ軽いくらいだ。」
恥ずかしいから下ろしてほしい私をよそに、スタスタと伊織くんは歩いていく。
トサッ
音とともにベットの端に下ろされた。
「冷やすもの持ってくる。汗もかいただろうから着替えて寝ていろ。」
「うん……。ごめんね、迷惑かけて。」
「迷惑だなんて思っていない。こういう時ぐらい……その……甘えていろ。」
「うん。ありがとう。」
伊織くんは私の頭を一撫でし、少し頬を染めながら言った。
そして、今まで使っていたアイスノンを持ち、部屋を出ていく。
一方、私はのそのそと着替えをし、布団へ潜る。
トントン
「奈菜、入るぞ。」
「どうぞ。」
「起きられるか?」
「うん。」
怠い体をゆっくり起こすと、すぐ背中を支えてくれた。
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