想夢

□妖刀乱舞‼
3ページ/4ページ

プロローグ
_______

『ハァ‥ハァ…ゲホッ‼』

吐血しながら座り込んでしまう

頭に血が回らない

意識は徐々にかすれて来ている。


____まだ帰れない、帰りたくない


帰る所も進む方向も一緒に帰るはずの仲間も居ないし、解らない。
傷口はズキズキと痛み声も出ない。


____そうだ私は棄てられたんだ。

棄てられたのだから帰りたいと思う場所も、もう無い。

___皆は大丈夫かな?
そんな考えが浮かぶ
私がいた本丸は俗に言うブラック本丸で
暴力、倒壊、

‥‥日常茶飯事だった。

そんな日常から棄てられ、解放されたはず‥なのに何も感じない

ただ、虚しさだけが心で木霊する

嫌な記憶

憎い

悲しい

全てが混ざって黒い感情が芽生える。


『‥‥!!』

出血が酷くなり完全に体が動かなくなる。


暫くすると風が止み何もない静寂が辺りを包む


___嵐の前の静けさ‥‥か。


森の物陰よりずうっと奥の方から敵の部隊が現れた

禍々しい殺気、先ほどの敵とは大違いだ

____検非違使か。

奴らにとって私は恰好の獲物だ

敵の薙刀が振り下ろされる。

時間が遅くなったかのように、ゆっくりとゆっくりと刃は落ちてくる。




『ごめん…何も!!


守れなかったッ!!!』

懺悔の言葉と涙がただ流れた。

刃が私に当たると同時に、懐かしい声が聞こえた。
そして、意識は無くなった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ