想夢
□妖刀乱舞‼
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プロローグ
_______
『ハァ‥ハァ…ゲホッ‼』
吐血しながら座り込んでしまう
頭に血が回らない
意識は徐々にかすれて来ている。
____まだ帰れない、帰りたくない
帰る所も進む方向も一緒に帰るはずの仲間も居ないし、解らない。
傷口はズキズキと痛み声も出ない。
____そうだ私は棄てられたんだ。
棄てられたのだから帰りたいと思う場所も、もう無い。
___皆は大丈夫かな?
そんな考えが浮かぶ
私がいた本丸は俗に言うブラック本丸で
暴力、倒壊、
‥‥日常茶飯事だった。
そんな日常から棄てられ、解放されたはず‥なのに何も感じない
ただ、虚しさだけが心で木霊する
嫌な記憶
憎い
悲しい
全てが混ざって黒い感情が芽生える。
『‥‥!!』
出血が酷くなり完全に体が動かなくなる。
暫くすると風が止み何もない静寂が辺りを包む
___嵐の前の静けさ‥‥か。
森の物陰よりずうっと奥の方から敵の部隊が現れた
禍々しい殺気、先ほどの敵とは大違いだ
____検非違使か。
奴らにとって私は恰好の獲物だ
敵の薙刀が振り下ろされる。
時間が遅くなったかのように、ゆっくりとゆっくりと刃は落ちてくる。
『ごめん…何も!!
守れなかったッ!!!』
懺悔の言葉と涙がただ流れた。
刃が私に当たると同時に、懐かしい声が聞こえた。
そして、意識は無くなった。