アネモネ

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「さぁ、なまえ。 ここがお前の家だよ。」


車の後部座席で、小太りの男が言う
彼が指で示す方向を、隣に座る少女のような女性


「離れ離れになるのは、父様寂しいぞ」


彼女の太股を擦りながらにやり と微笑む父と名乗る男。
その男の手が動く度に彼女は震える。


お付きの運転手は バツが悪そうだ。
少しでも早く着くようにと アクセルを踏む。


...


「あぁ、もう着いてしまったね
降りようか、なまえ。」


先に父のドアが開く。小太りの為か降りる際に時間が少しかかる。

女性は自分の方のドアが開くまでこれから住むであろう屋敷を見た。

大人1人が生活するには大きすぎる屋敷が彼女の目に映る
ドアを抜け 屋敷までの庭を歩く。
庭は庭で一人で管理するには無理がある 綺麗な庭だ。


「そういえば、7人の執事を雇ったんだ」

「...?」


父の言葉に疑問を浮かべる。そんな事は聞かされていなかったからだ。


「なまえ、1人では大変だろう?
きっと屋敷の前で出迎えてくれてるだろう」


本当は女性を雇いたかったが...と呟きながら歩く。
彼女は返事をしなかったが父は気にしていなかった。


「まぁ、何か困ったら彼らに頼りなさい。
くれぐれも 変な関係にならないようにな」


ギラリと彼の目が光ったような気がした。
了解の意味を込めて頷く彼女。その態度はどこか怯えているようだ。
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