アネモネ

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ロビーを抜け 大広間の、長いテーブルの1番奥に座る女性。

彼女は本日から7人の執事と一緒にこのみょうじ家のもう一つの屋敷に住む主、なまえだ。


間「どうぞ」


カチャリと彼女の前に紅茶が一つ 。 それを頂いていると 大広間に1人の男が入ってきた。


近「小野くん 書類あったの?」

福「あぁ、あったってよ
どうやら、仕事の紙と混ざっててわからなかったみたいだ」

立「んで、その小野くんは?」

福「いま書類読んでるぜ、すぐ来るだろ」


何やってんのよーと、ため息が響く大広間。
こんな所で時間をくっている訳にはいけない


日「リーダーいないけど、先に自己紹介しておこっか」

菅「そうだね!
僕は菅沼久義!ニックネームははちみつでーす、よろしくね!」

間「口の利き方。 俺は間島淳司、ニックネームはサムソンと言います」

福「俺は福山潤、ニックネームはピンハネ
よろしくお願いします、お嬢様」

近(すごく決めたな潤くん)「僕は近藤孝行。ニックネームはフォンドヴォーです」

日「俺は日野聡。よろしくお願いしますなまえ様」

立「あ、ちなみに日野くんのニックネームは親方で
俺は立花慎之介、ニックネームはなまはげです」


今遅れてくる人はリーダーのまさし事小野大輔って言うよ!と菅沼と名乗る人物は教えてくれる。

彼女は、困った顔ではにかむ
一向に黙ったままだ


あれ、なにかしたかな。菅沼は不安になる、相変わらず言葉使いが、なっていない。


日「コホン、とりあえず小野くん待ってるより 屋敷の案内しますね」



それから、玄関 客室 図書室 厨房 バスルーム 自室 庭などを案内される。
部屋の一つ一つを説明する度に彼女は頷くだけで喋らない


最後は寝室だと聞かされ ついていくなまえ。そんな彼女をただじっと見つめる執事が1人。



近「こちらがなまえ様の寝室でございます。」

「......」

日「ご実家から持ってこられたものはすべてこちらに置いております。
自室はなまえ様が仕事で使われる場所
寝室はプライベートで使ってください。」

間「何か足りないものがありましたら我々にお伝えください。早急にご用意いたします」

「......」


微笑みながら こくりと頷くなまえ。 そして何かを探し出す。
しかし、見つからないのか数分の間部屋を彷徨う。


福「何かお探しですか?お嬢様。」


福山の問に戸惑う彼女。そんな彼女を見て


立「ねぇなんで黙ってるの?」

「...!」


しびれを切らしたように声を発する彼、立花。
ちょ、ちょっと立花くんと菅沼は宥めるが時既に遅し、立花は彼女の前へと進む。


立「俺らが何喋っても だんまりだし、自己紹介すらしないし、ちょっと礼儀がなってなさすぎでしょ?」

「......」


とうとう目の前まで迫る彼、それでもだんまりな彼女。まだ黙るのかと一言加えようとした時

彼女は...
とても震えていて、今にも泣きそうな顔をしていた。

甘えん坊の子供が演技のために見せるそれとは違う。何かに怯えるような


立「っ...!」


言い過ぎたかと急いで離れる立花。福山が何やってんだよ立花と注意し 間島が彼女に大丈夫かと問う


間「すみません うちの立花は少し短気なところがあって」


震える彼女の肩を落ち着かせるべく手を伸ばした時 彼女の方がビクリと跳ねた

間「え...」

戸惑う間島に怯えていたなまえはハッと正気を戻す。慌てて頷いて大丈夫な事を伝える。


小「あ、ここにいた」


すると現れたのはリーダーであろう小野大輔。
探したよ、まったくと彼は歩いてくる


小野はバツが悪そうに俯く彼女を見て、あー 遅かったかとつぶやく。

菅「え?」

小「彼女とコミュニケーションで必要なのはこれだよ。」


ですよね?と自分の制服からメモ帳とペンを取り出す。それに彼女は戸惑いながらもペンを取り書き記す。

"すみません ありがとうございます"

と。

ようやく意思疎通ができて笑う彼女と一緒に微笑む小野


彼が取り出したのは何故か制服と一緒に与えられたメモ帳とペン


近「小野くんどういう事?」


近藤が問うと 小野は状況を理解出来ていない彼らにこう告げた。



小「彼女は...なまえ様は 声が出ないんだ」







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