アネモネ

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朝 とても大きい屋敷にノックの音が響く


小「なまえ様 失礼します
あ、もう起きていらしたのですね」


執事が起こしにくる前に 既に起きて着替えを済ましている主 なまえ。

(旦那様の書類に書いてあったな...)


ーなまえはとてもいい子だ、朝も自分で起き、服まで着替える。


と 彼女の簡単な説明書が住む前に届いていたが気づかなかったために昨日の夜に7人の執事は書類の内容を頭に叩き込んだのだ。


しかし、手が不器用なためか髪は整えないらしい 故に朝の仕事は主の髪を整える事からだ、


小「失礼しますよ、 なまえ様」

「......」


近付いてきたことに気付き、彼女も急いでペンを走らせる

"おはようございます
今日からよろしくお願いします"




小「敬語なんておやめください
私は貴女の執事ですよ?」


サラサラの髪を整えながら小野は言う。
確かに主である人が執事などに敬語を使うのはおかしい

"すみません
どうも最初は敬語の方が落ち着いて..."

謝ってほしくはなかったのだが、と苦笑いし
でしたら慣れたらでいいですよと、髪のセットを終える。

では、朝食の準備はできております。 とエスコートをするべく後ろを振り返ると 制服の裾を引っ張られた。

驚く小野に スッと出てきた彼女専用のメモ帳

"あの...お願いがあるんですけど..."

小「いかがなされましたか?」

"その...あんまり畏まった言い方しないでください"

小「え......と...」

"普通に会話してくれればこっちも慣れやすいかなって..."

実家の使用人さん達にも言ったけど無理だと言われて...と書きながら落ち込む彼女

(これがアレか…無理なお願いか...)


ー娘はまだ未熟、上下関係がわからないから、無茶なこと言うぞ


書類のどこかにそう書いてあったのを思い出し思い詰める

執事といえど [です、ます] だけの敬語でいいのか
しかしなまえ様の最初のお願い
執事たるもの主の願いを叶えるのが仕事...


小「考えさせてください
他の執事にもそう伝えておきます」


では、行きましょうと彼女を立たせる。

今日の朝食担当は日野だ、日野が食べ物を並べている内に彼女に温かい飲み物を注ぐ立花。


菅「あれ? なまえ様早いんだね〜」


大広間のドアを開ける菅沼 彼はいつも寝坊したり仕事でミスしてしまうと言うどこか抜けている存在。


立「お前が遅いだけだ、シャキッとしろよシャキッと」


他の執事は掃除やら書類整理など違う仕事をしている。

大広間にいるのは小野 立花 日野 菅沼と主だけだった


「あの...なまえ様」

「??」


朝のスコーンを頂いていると 不意に横から呼ばれる。彼女が視線を向けた先には小野と立花が並んでる。

小「先日は申し訳ありませんでした。私の注意不足でなまえ様に不快な思いをさせてしまい...」

深々と頭を下げる小野。ほら立花くんもと視線を彼に送る。

立「...大変 申し訳ありませんでした」

続くように頭を下げる立花、そんな彼を見て慌てて彼女はペンをとる

"大丈夫ですよ、こちらこそ ごめんなさい"
"私は気にしていないので、立花さんも気にしないでください"

立「......はい」


なまえは笑顔で立花に紙を渡す。大丈夫と答える彼女でも紙を持っている手は少し震えていた。

やはり怖がらせてしまった と紙を受け取ったあと小さく溜息を吐く立花
そんな彼に手を置いて慰める日野であった







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