アネモネ

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図書室で、なまえ様は何かを探していた。



ようやく見つけたようで台を用意し手に取ろうとするが彼女の身長では届かないようだ


困っている彼女の顔はとても可愛らしい。少し笑みをこぼしながら、取ってあげるべく同じ台に乗る。


日「これで宜しいですか?」


驚きながらもコクリと頷く我が主、
心なしか頬が少し赤いような気がする。


小さな台だからとても密着しているからな、本当に可愛らしい


お望みの本を取り渡すとなまえ様はにっこりと微笑み、メモを出す。


"ありがとうございます。日n..「待て待て、菅沼ゴラァア!!」


書き終える前に主の周りを菅沼くんと慎ちゃんが、回っていた。


立「なに、なまえ様に隠れてんだよ。こっち来い!」

管「アレをやったのは僕じゃないって!!」


そう言いながら彼女の周りをぐるぐる回る2人


あぁ、なまえ様が困ってるじゃないか...


すると


ガッシャァァァアァアアンッ!!



今度は廊下から何かが割る音が...
その音に勘のいい慎ちゃんは遂にキレたようで


立「だあぁぁあ!
どいつもコイツも!!
今度は誰だ!!!」

管「うわぁぁあ!ちょっと襟を持たないで立花!!」


すごい早さで菅ぽんを捕まえてどこかえ消えてしまった。


「.........」

日「.........」


"今日も賑やかですね"


クスクスと笑いながら書く主
心広すぎでしょ、さすが主


なまえ様は読書が好きなようでこうやってたまに本を読む。

その間僕達執事は本の整理や一緒に読書などしている。


日「あ、これ懐かしいな、、、」

ちょうど取りやすい位置に小さな本があった。


そこまで読み込む気にはなれなかったから彼女の気が済むまでこれでも広げてよう。


と、隣のソファーに座り本を読むふりして主を見る。


あ、なまえ様って案外まつ毛長いな...
18歳に見えないや


じっと見つめていたらふとなまえ様が目を上げる。

やばい、見つかった!って思ったけどなまえ様は僕の持っている本が気になったらしい。


"その薄い本は?"

日「え!? あぁ、これは絵本ですよ、童話の」

「???」


絵本?っと返す彼女
も、もしかして...


日「絵本というのは 童話などを子どもにもわかりやすく読んでいただくために絵を付けて短く簡潔にした物です。」


"そうなんですか...初めて見ました"


やっぱり彼女は絵本を知らないのか...
そう言えば探していたのも難しそうな本だったな。


なまえ様はどうやら絵本に興味津々みたいだ。



日「良ければ、読んで差し上げましょうか?

わたくし、小さい頃に親に読んでいただいた記憶があるので」


少し驚いた顔のなまえ様だったが笑顔で聞きたいと言ってくれた。


すると僕の隣に座り絵本をまじまじと見る

ち、近い...

めっちゃいい匂いする。やばい落ち着かない...


頑張れ俺!と平常心を保つように祈りながら読み始める





これはとても切ない物語

好きな人に想いを告げれず

泡になる


『人魚姫』のお話



日「私は泡になって消えてしまうの
人魚姫は...?」


読んでいる最中 肩にとんと重力がかかる。
なまえ様は頭を僕の肩に乗せて眠ってしまった。


お疲れだったか...少し休めないと...


ブランケットを取りに行きたいが結構寄りかかっているため取りに行けない、仕方がなく自分のブレザーを彼女にかける。


規則正しく動くその肩、目には薄らと隈ができていた。
頑張り屋なのか辛いとか弱音は一切吐かないお嬢様。


何だか無性に愛おしくて、誰にも渡したくないそんな気持ちが時々過ぎる。


彼女の顎に手を当て、少しだけ上を向かせる。幼い顔のくせに唇だけは艶やかで色気がある。

そっと自分の顔を近づける、



福「オイオイおいぃいい!!
日野この野郎何しようとしてんだ!」

間「ちょっと潤くん! 待てよ話し終わって...あ?」

日「......!!」


しまった...これはまずい...


間「ちょっと潤くん、日野くんを捕まえてこれは会議だね。みんなを呼んでくる」

福「ヘヘッ、りょーかい」


ふ、2人とも目が笑ってない...
なまえ様をそっとソファーに寝かして逃げた






(ひーのー君!キスしたんだって?
隠れても無駄だよ、どこに隠れたゴラァ!)

(まって慎ちゃん、してない、潤くんまじー、デマを流さないで)
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