アネモネ

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小「なまえ様、さぁ、こちらに」

立「なまえ様、行きますよ」

福「やっっと、リムジン使えるぜー!」


腕を鳴らしながら潤くんは颯爽と運転席へ乗り込む。
小野くんもなまえ様の手を取っているが...

そのなまえ様といえばドアを開けたのにもかかわらず、乗り込もうとしない、
どうやら行きたくないようだ。

しかし今日は貴族の方々とお茶会、もちろんみょうじ家も参加しなくては行けない。
貴族として、遅れるわけにはいかない。


ほかのあいつらは屋敷でお留守番だ。


...少々...いや、多少心配だが...

まぁ、付き人の仕事も不安だからこうして俺が出てるんだけどな


なまえ様...と名前を呼ぶとまゆを下げて今にも泣きそうだ、こんなに駄々をこねるのは初めてだ。

ようやくなまえ様は車に入るが終始行動が落ちつかない。

周りをキョロキョロしだしたりずっと下を向いてばかりだ


立「そんなに嫌なんですか?」

福「大丈夫ですよ、お嬢はただ座っていればいいんですから。」

「......」


にっこりと笑ってもすぐ下を向く姿にこちらも困惑する。

もちろんお茶会と言っても 仕事の報告会みたいなものだからなまえ様は声が出ない分俺達がするんだけども、



そんなに苦労することでもないだろ?っと聞いても答えやしない。

ペンとメモ帳を手には取っているがペンを走らせようとしない。


...その手は少し震えている様にも見えた。




小野くんも、そしてバックミラーから覗いている潤くんも気づいているみたいだ 様子がおかしい事に


小「コホン、とりあえず、今日のお茶会の参加者は...」


なまえ様は子供の頃に旦那様と一緒に参加したことがあるみたいだから顔は知っているだろうが一応報告


神谷浩史様...神谷財閥の長男だそうだ。最近継承したらしい。医療関係の方

安元洋貴様...こちらも安元財閥の継承者。主に薬を扱ってるとか

梶裕貴様...梶家の一人息子、国の経済を支えてる仕事の家らしい。


小「そして、ボッチャ・チンブーテ様...?こちらは中国の...」

「...!!」


この、ボッチャ様の名前が出た途端 びくりと跳ねるなまえ様


立「...?なまえさ...」

福「着いたぜー」


車の振動が止まり、扉が開くと潤くんが顔を覗かせる。

立「じゃ、じゃあ、行きましょ?」


先に外にでて彼女の手をとる、さっきの行動がどうも気がかりだか、聞くタイミングをのがした...


手をのせ、なまえ様は車を出るが顔が真っ青だ。...まさか具合が悪いのか?

小「では、私は先に屋敷に行ってます。執事のリーダーとして 他の方々にも挨拶をしないと行けないので...」

また、後ほど...と頭を下げる小野くんの裾を引っ張るなまえ様。

流石の小野くんも潤くんも俺も驚いた。

「......」

小「...なまえ様...?」


行かないでと伝えたいかのようなそんな表情。
すぐにはっとして なんでもないとメモを見せる。


...小野くんにはあんな表情見せるんだな...



そのままゆっくりと屋敷に向かう彼女
小野くんは裏から入るようだ




福「お嬢、大丈夫かい?
顔が真っ青ですぜ...?
...ってお嬢!?」

立「...危ない!!」


ゆっくりと歩きていたが何も無いところで躓いてしまった。
俺と潤くんで支えたけど...


"大丈夫です..."


ありがとうございますと弱々しい字でそう告げるなまえ様


立ち上がったが足が震えてる。




熱の可能性を予感して彼女の肩に手を置こうとした時









「やぁ、待ってたよなまえちゃん...」



何やら企んでいるような、妖艶な笑みを浮かべる男が1人。
会場である、神谷家の前に立っていた。






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