儚い君、弱い僕ら

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福「なまえ、来たぞ...?」


仕事終わりに病室を覗いてみるが
初めて来た時の風景がそのままそこに広がっている。


病室には心電図モニターの音だけが規則正しくなっている。


身体中に包帯が当てられているが、頬のガーゼから傷がはみ出ている。
傷からして相当酷い仕打ちにあったことを物語っていた。


なまえが誘拐されたと知るのはあの日ラジオ収録をサボったと勘違いしてから5日後だった。





福「たく、あいつは何やってんだか」


俺は車でDABAの集会である居酒屋に向かっていた。
ちょうど赤信号で停止した時、携帯からメールの着信を知らせる音が聞こえた。
どうやら立花からだ、



立"今、小野くんと一緒になまえの家に向かってる。

寝坊で電源切ってるなんておかしいからちょっと違和感感じて"



確かにな...俺だって何もタチが電話するまで何もしてなかったわけじゃない。
電話だって何回も掛けたが繋がらないし、LINEすら見ない。


青になったところで発車させる。
俺も気がかりだったのであいつの家まで行ってみるか。





なまえの話によると会社から家までは駅を4つ挟むらしい。

よく飲みに行った時、終電逃すと家に泊めたりしてたな。



ちょうどあいつの家についた時に立花達とも合流出来た。


立「あ、来たんだ。」

福「まぁな、これで寝てたら
1発かましてやる」

小「まぁまぁ、でも本当に珍しいね
なまえちゃんが遅刻だなんて」



あいつのマンションは設備が充実していて
出ていく時と帰るときに鍵を使えば自動で記録してくれるらしい。故に部屋にいるかわかる。

訪問者も管理人に一言声を掛けてからじゃないと入れない。



「おや、お兄さん達は...なまえちゃんの...」

立「お疲れ様です。」


何度かなまえの家に遊びに行ったこともあるから俺達はすっかり管理人とも顔見知りだ。

とりあえずあいつが部屋にいるかだけでもわかればいいが...


小「なまえちゃんって部屋にいますか?」

「なまえちゃん?...えぇっとね

い...ないね、と言うか昨日は帰ってきてないみたいだよ」


「「「...え?」」」


本当ですか?と聞き返すタチ
そんなはずはない、昨日はなにか飲み会や、朝までぶっ通しの仕事なんてあいつには無いはず
(てか俺ら意外とは飲まないし、仕事も無理なんてしない)


一応昨日の夜の監視カメラも管理人さんに見てもらったが帰ってきてないみたいだ。



俺らはひとまずマンションから出て俺の車に乗り込む。

小「帰ってきてないって...え? どゆこと?」

立「俺に聞かれてもね...潤くん本当に何も聞いてないの?」

福「あぁ
昨日は普通に仕事早くやるぞって連絡し合った程度だし...」

小「俺とりあえず、アイツらにも言っとく。」



小野はすぐさまみんなに知らせる

皆も情報は一つもないみたいだ


とりあえず一旦戻ろう。と タチの言葉に動かされるまま車を動かす。



俺の頭はパニック状態だ。訳がわからん、






一体何がどうなってるんだ?






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