儚い君、弱い僕ら

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機械音が響く病室の中なまえは相変わらず目を閉じたままだ

俺達がなまえを見つけてから10日程経ったが、目を開ける気配がない。

小「なまえ...」


小さくてそしてやせ細った手を握りしめながら俺はなまえを見る。

俺達に今出来ることは 少しでも多く会いに来て呼びかけることだ。


見つかったことにより少しだけ俺達の心に光が射した気がしたんだ。
それまでは俺達も色んなものと戦ってきた。


お互いがお互いに色んなものと闘ってきたんだ...



そんなこと言ってもなまえにとっては俺達よりも苦痛だったんだ







なまえの拉致疑惑を聞いてから俺の部屋でDABAが集まった。


こんな形でまた昔のDABA会議を開くなんて驚きだが、


集まったはいいものの 何から話してよいのかわからない
お互いが気を使って無言の状態が続いた。


立「あいつの拉致事件、聞いたよ
正直信じられないけど 警察がわざわざ言いに来たんだ。
まず間違いないだろう。」

立花くんの言葉に頷きも返事すらもない。
この空気に何が示されているのか定かではないが。

立花くんは、みんなの代わりに話し始めたんだろう。


小「俺と潤も、多分立花くん達より早く聞いたのかな。
信じられないと思ったが 証拠があるみたいだね。」


皆も段々会話に混ざってきた。 何故彼女が、いったい何故? 出てくる言葉は何故の二文字。


暫くするとまた沈黙が流れる。
俺は何気なしにテレビを付けてみた、テレビにはちょうどニュース番組が流れていた



"ーー声優界の人気急上昇中の歌手 なまえさんが姿を現さずに数日がたった頃

警察は拉致事件として捜査を開始しました。

なまえさんは○月○日から姿を見ていないそうで..."



立「...は?」


何気なしに付けたテレビからは なまえの事件性を匂わせるニュースが流れていた
さすがの俺達も驚く。 つい先程聞かされた事がもう世間に出回っている。


すると一斉に7人の携帯がなる
事務所からだったりマネージャーからだったり。


"今夜は外に出ない方がいい"


そう俺の携帯には書かれていた。皆も同じのようで、交互に顔を見合わせている。


多分一番、報道陣が目をつけているのは俺達DABAだ。


福「なんだよ、こんな時に
何で俺達が隠れなきゃならねぇんだ」


潤の言いたいこともわかる。ましてや報道陣によって俺たちにも精神的ダメージが加わる。
そして何よりなまえを探すことが出来なくなった。



だからといって探さないわけにもいかない。


みんなで話し合い変装やら時間帯を決めて探すことに決めた。



彼女が、なまえが見つかることを信じて





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