■二人の幸せはみんなの幸せ■

□8月の物語〜Degeneration and gradual change
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Degeneration and gradual change
退化と緩やかな変化


眞魔国の夏は日本より爽やかで快適だ。近所付き合いや人間関係などがなければお袋を連れてきてやりたいぐらいだ。

地球でのお盆明け 俺は血盟城に戻ってきていた。宿題も終わらせている。
ヴォルフラムは夏季休暇と言う名の里帰り中だ。
なんかビーレフェルトでしたいことがあると言っていたが、たぶん今日の昼には帰ってくるに違いない。

グレタも俺に合わせて昨日ゾラシアから帰ってきて同じベッドに寝ている。
可愛い愛娘の寝息を幸せの中感じながらの朝は久しぶりだ。

っと思ってたら
…あれ?
…体が変だ。

…え?もう?眞王?もう?このタイミング?
早くない?

とりあえず布団から手を出して 見る。
まるで 紅葉のようなグレタの手みたいで、グレタよりちょっと白い。だが動かせる…俺の手だ。

でもなんか腕も変だ。細くて短い。

っていうか

ガバッと起きる。

パジャマの肩がずれるうわ

どういうこと?

パジャマのズボンの中も探る

なんか、ツルツルだ。それにあれがない

え?うそ。

そのまま上の方も探る。
上にも何もない。

襟を引っ張って覗く。

あれ?眞王 ミステイク?

『おーいどゆこと?』
気持ち眞王廟に向かってテレパシーを飛ばす。
『予定通りだぞ。』
よかった、テレパシーの能力は健在だ。ってそうじゃなくて。
『一旦それだ。そうして成長していくだろう。』
まじ?『 新学期までにタッパだけでも戻る?』
『ある程度は。』
それはよかった。

あ、
グレタが 起きちゃった。

「ユーリおはよう ってあれ? あなたはだあれ?
ユーリに妹いたっけ?」お兄さんのショーリはあったことがあるけど
途中からブツブツ言いながら今の俺と同じように頭を抱えている。
悩ませてごめん。俺もびっくりしているんだよ。

「グレタ、俺は ユーリだよ。ほら、昨日のパジャマ着ているじゃないか。」
「ユーリ?本当に? 確かに髪も目も黒いね。
でも グレタよりちょっと小さい?し、すごく可愛いんだけど。声も。」
「そんなことより、とりあえずグレタ ギーゼラを呼んでこれる?
それから グレタの服貸してもらっていいかな?着れるかな俺。あ、ズボンが良いから。」
「うん!任せてって とりあえず ユーリ、そこに立ってみて?」
って 壁際の姿見を指差した。

今の俺ってどんなんだ…。
ズボンの裾を踏んづけないように膝のあたりをつかみながら時代劇の長袴のように歩いて 鏡の前に行く。

うわ、小学生の時ってこんなだっけ?
野球やってたから丸刈りだったけど、ほかは…こんな?
ってかあんまり鏡見なかったし。
お目々ぱっちり、眉も薄め。最近受験勉強で草野球もしてなかったから?前より随分色白…

グレタが横に並ぶ、
「ほら、今のグレタより小さいよ。そうだ、私がここにきたぐらいの時にユーリやヴォルフラムが買ってくれた洋服がまだあったはず。」
「わ、それならヴォルフラムじゃなくて俺が買った方にして。」
ヴォルフラムが買ったやつはどれもかなりヒラヒラの可愛いやつだったから!
「うん わかった 、ギーゼラとお着替えね。」

と言って 部屋を出て行った。
とりあえずまずは彼女が俺のこと認識してくれてホッとする。

グレタが戻ってくるまでと、邪魔なパジャマのズボンを脱いでから 部屋の鍵をかける。
そうして 姿見の前で服を全部脱いで改めて自分を見る。

だれだこりゃ
10歳ぐらい? の

女の子。


「はあ、もう地球に帰りたくないな。お袋や勝利がこわい。」
絶対おもちゃにされる。
打ちひしがれて鏡の前に跪く。
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