■二人の幸せはみんなの幸せ■

□10月の物語 〜Harvest festival
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Harvest festival
収穫祭

眞魔国には農耕のお祭りがいくつかあって、秋の祭りは十貴族それぞれの領地で特徴の違った催しがあるらしい。
そしてその集大成を魔王の直轄地でやるんだが、魔王になってから俺が締め括るこの行事は自身楽しみにしていることの一つでもあったりする。
しかし、毎年その内容は変わっていてまあ、学園祭でいう実行委員みたいなのがあって、そいつらが内容を決めて本番までに色々段取りをしているらしい。

今年の実行委員長は
「陛下、今年の催し物は是非陛下にもチャレンジしていただきたいものなんですけど。」
育ての親がニコニコして言う。
「陛下って言うなよ。コンラッド、俺も参加できるものなの実行委員長さん?」
「もちろんですよ。皆さん陛下の参加を心待ちにしているのでは無いでしょうか。」
ギュンターが両手を摺り合わせながら俺に寄ってくる。

魔王の執務室で朝のミーティングが始まっていた。
「催し物というのはこれです!」
そう言いながらギュンターが取り出した長い棒?って思ってたらクルクルと巻いた大きな紙だった。ってポスター?

”ミス眞魔国派同盟コンテスト”

ミスコン?
うーん 地球にもあるけど、全然興味なかったからどういうことをするのかあんまりわかっていないけど、たしかドレスとか着物というか民族衣装を着たりとか…あ、水着とか(汗)
こっちのもそういうのか?
だいたい、収穫祭と何の関係があるんだ?

こういう話題で反論してくれそうなヴォルフラムが自分のところの秋祭りがあるとかで今ここに居ない…。

確かに以前 ヴォルフラムと女装コンテストに出てグリエに優勝を持っていかれた記憶があるけどミスコンかー。ツェリ様は殿堂入りだったっけ。あんなムンムンって感じの俺には無理。って思っていたら
「双黒なだけでもこの世には大賢者以来の存在ですのに、女性となるとさらに陛下の代でしかお目にかかれないお姿でしょう。きっと優勝間違いなしですよ。」
ギュンターが俺の優勝を確信する。
「うーん。」
「陛下。陛下がミスでいられるのは今年だけなんですから。」
「あ、そっか。」
「ミスコンそのものは毎年やっていたのですが、眞魔国派同盟では今年が初めてで、もうすでに人間のそれぞれの国のミスは決まって出揃いつつあります。眞魔国では先月までにエントリーして、先週までに格領の代表が決まっていて明後日に決勝ということになっています。陛下はこの直轄地からエントリーはもちろんしていますよ。魔王陛下としてじゃなくて シブヤユーリ としてですが。」

「エントリー済み!しかも明後日ー!そんなの俺無理でしょ。」まだパンプスで歩くの苦手だし、何より水着なんて!
「大丈夫、陛下は特別にシード枠にしていますから地方選は無しで決勝だけのご参加で大丈夫ですよ。」
シード枠って…。それもフェアじゃなくて俺の好みじゃ無いな。
それに、この直轄地の予選あったなら見たかったな。足元の美女。やっぱり心は男の子ですから。

ま、しょうがないか、そんなので国民の皆さんが盛り上がって楽しんでくれれば、ここはひとつピエロでもしますかね。
「…わかったよ、ギュンター、コンラッド。」
「ユーリなら肩書きがなくても優勝するよ。」
…無理だってばコンラッド。
「でも、決まったからには一応お稽古をしませんと。」
「稽古?」
「舞台で歩く練習です。」
あ!モデルウォーキングってやつ?ガチですな。
「ギュンター、その前に陛下の決勝用の水着を選ばなければ。」
「そうですね。仕立てるのは間に合わないとしても。」
「巻尺もここにあるよ。」
「わーそれはあんたらに相談しないよ。誰か女の人呼んできて!」
…コンラッド、本性丸見えで怖すぎる。
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