■マ王■

□コンサート
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とある穏やかな晴れの昼下がり、俺さま渋谷有利は血盟城の中庭に赤絨毯を敷いてもらって、大賢者村田と二人で椅子に座っていた。
周りにはおなじみの十貴族を始め、お金持ちの方々に座ってもらっていた。
上王陛下の横にはたまたま行商に立ち寄ったファンバレンもいる。

さて、魔王の慈善事業の一つを開始しよう。

譜面立てを二つ並べて 数枚の紙を重ねている。
ギュンターに頼んだら長くなってしまった挨拶が終わって、合図をもらうと 双黒の二人でタイミングよく立ち上がった。

♪ピーラ ピーラ ピラピラ〜♪〜
楽器は雨の降らない地球から持ってきた茶色にオフホワイトのアクセントがついているソプラノリコーダー。本当に魔笛とソックリ。
村田は同じく俺が中学で使っていたアルトリコーダーを吹いてくれていた。
リコーダー二重奏の演奏会が始まった。
練習を積み重ねた曲はなんと15曲。かなり頑張りました。でもこんなことで慈善事業の寄付金が集まるなんて本当かな。




ある日曜日、なんで俺を誘ったのかわからないんだけど、ダイケンジャー村田さまに連れられて東京の古書街に来た。その中の一つの古本屋で、カラフルだけど古びれた横長の変な本が目に止まった。
「簡単で楽しいリコーダー名曲集 童謡からヒットソングまで」とかいうやつだ。小学校の音楽の教科書より大き目のおたまじゃくしがいっぱい印刷されていた。
魔笛をちょっと吹いてから実はリコーダーにハマっていた。あっちの魔笛をいっぱい吹くと大変なことになるけど、いざ、また必要になった時にさすがに今のままでは芸がなさすぎる。机の奥からリコーダーを引っ張り出した。高校の選択科目は音楽じゃないから、こいつはもう使っていなかった。でも家にある楽譜は残しておいた小中学校の時の教科書類だけだ。

「あれ?渋谷 リコーダーしたいの? 僕は選択科目が音楽だから今でもやらされるよ。っていっても、最近ほとんどピアノだけど。リコーダーって奥が深いよね。」
「村田、俺が魔笛を手にした時はまだあっちに行ってなかったよな。」
「そういえば 渋谷 スヴェレラでお披露目したんだっけ。」
「うん。みんながリコーダーなんて聞いたことなかったから、手を叩いてくれたけど、俺的にはあんまり綺麗に吹けなかったから心残りなんだよね。次にいざ必要になった時のためにちょっと練習したいんだよね。あっサザンとかあるじゃん。面白そう。」
「えらい渋谷!あ、この曲なんかアルトリコーダーと二重奏じゃないか。」
「ちょっと練習して今度お茶会でお披露目する?」
「いいねえ 魔王コンサート。」
「じゃあ これ買ってくる。村田 教えてくれよ。」
そうして、いつもの公園で練習することになった。
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