■マ王■

□お買い物《ソフト裏》
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今年のゴールデンウィークは結構長い。ヴォルフラムに一緒に過ごしたいと頼まれてスタツアして、今日は郊外の大型量販店に買い物に来た。地球に来た時はヴォルフラムはいつも俺の服を貸して着てもらっているのだが、背格好は同じぐらいなのに 手足が長くて、ジーパンとか短くなってしまう。体型が西洋人ということなんだろう。俺だって決して短足ではないのに悔しい限りだ。でも、いつも気を張って俺の護衛してくれている彼のために、ヴォルフラムがこっちに来た時用の服を幾つか用意するつもりだ。
「僕は全然ユーリの服で構わないけど。」
「でも 俺の服って全然オシャレじゃないじゃん。Tシャツとジーパンとかそんなのばっかで。俺も今日はこづかい多めに持ってきたし、ここは奮発しようかな。それで、服を買って、飯食って、ゲーセンもいいな。前にみんな集団で来た時はいけなかったけど、今日は出入りしやすいし。」
思わずはしゃいでしまった俺を、珍しくご機嫌でニコニコしているヴォルフラムみてなんだか嬉しくなって、なぜか ますます張り切ってしまう俺。
「なんかヴォルフ機嫌いいな。お前ってこういう人混み苦手かなとかも思っていたんだけど。」
「ああ、苦手だったけど ユーリと一緒に居られるなら楽しいな。でも人が多くてしかも みんなほとんど双黒だし、はぐれたら困るな。ユーリちょっと手かして。」
「うん?」何も考えずに左手を出したら、ヴォルフの手がしっかりと握ってきた。指と指もがっちり絡まっている。
「これなら大丈夫。」
こ、これって 恋人つなぎ。やばいと思う間もなく 明後日の方向から声が。
「渋谷くんじゃない?」
あ、ソフト部のエース。
「おう こんな人混みで会うなんてな。」
「だって、こんな綺麗な金髪の人歩いていたら人混みでも目に止まっちゃうよ。そんで 男の子同士で手を繋いでるわーなんて見ていたら、お相手が渋谷くんでびっくり。」
「ああ、ちょっと恥ずかしいけど、コイツこっちの事まだわからないからはぐれたら困るからな。」
「でも、なんかいい雰囲気だよ? ね、金髪のお兄さんというか王子様?渋谷くんとはお付き合いしているんですか?。」
人見知りヴォルフラムのくせに、機嫌がいいからか珍しく初対面のはずの彼女に笑顔で答えた。
「ああ、僕はユーリのことを誰よりも愛しているんだよ。」
ああああ 日本でカミングアウトはまだ困るよ。
それを聞いた彼女は満面の笑みでちょっと顔を赤くして
「凄い、渋谷くん。なんだか羨ましいなあ、こんな王子様、女の子もみんな憧れているのに。」
「あはは、ヴォルフラムって言うんだけど 本当に王子様で 白馬にも乗るんだよ。」
「へえ 、ヴォルフラムさん。渋谷くんとのデート頑張ってね。」
「ああ、お嬢さんどうもありがとう。」
ちょっと デートってデートって。そんなつもりじゃなかったんだけどー。

って固まっているうちにソフト部のエースは手を振りながら離れていった。
「ヴォルフ、デートって翻訳されている?」
耳にはおなじみアニシナさんの 心の声を聞いてくれクン 装着。
「翻訳なくても、ウエラー卿に聞いて意味は知っている。今日、ユーリはデートに連れ出してくれているんだろう?」
「デートつか、買い出しなんだけど。そ、それよりまず服だ服。」
脳筋族の俺はファッションはからきしだけど、うーんヴォルフはやっぱりヨーロッパっぽいのが良いかな。ボトムとポロシャツとカーディガンか。あ、でもスニーカーの歩きやすさも体験してもらわないとな。
いつも行く老若男女で賑わうカジュアルな洋服店に入った。
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