■マ王■
□初恋
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今日は 昼のねむたーい時間からずっとギュンターとお勉強。
部屋に鍵までかけられちゃってさ、延々と俺様 渋谷有利が魔王として治めていることになっている眞魔国の出だしの歴史のところを歴史書の通りに繰り返し述べ出す。
「ちょっと そこのところ昨夜本人たちに聞いたけど、少し違うぞ。」
「え?何処がですか?」
「眞魔国建国の時に眞王に使えていたものには人間もいたんだぞ!前にギュンターも村田に聞いていただろう!歴史書が事実と異なっていたら修正しないとー、いつまでたっても未来に間違いを教えることになるんだよ。正しい歴史を伝える方がいいんでしょう。」
「ああ、陛下なんと素晴らしい。ここで間違いに気づくとは、このギュンターユーリ陛下の御聡明さには感服いたします。
では早速。」
ギュンターが歴史書に修正の書き込みをし出した。
あー今日はいい天気なのに。絶好の野球日和なのに。
こら!そこ!列を乱すな。
きょうはギーゼラが地方の予防注射に出かけていて、血盟城の兵士の訓練は ヴォルフラムが代わりにやっていた。
声がする方をみると、中庭にひときわ輝く金色のあいつがいる。
ダーガースーコースー、まだ休憩じゃないぞ!気合がたらん!
はひー!ヴォルフラム閣下!
ヴォルフラム気合入ってるなー。
キビキビしていて、離れているから小さく見えるんだけど金髪以上に輝いて見えて目が離せなくなった。
あ、ひとり蹴つまずいてこけた。
兵士がこけるってありえないぜって思っていたら
その兵士のそばに居てる他のやつより素早くヴォルフラムが列に割入っていって そいつが立ち上がるのを助けている。
あ、あー足首ひねってるのか。即座に魔力で手当てをしている。
すごいな、今日は二十人ぐらいの隊の訓練だけど、ヴォルフラムの動きが目についてずっと目で追ってしまう。
俺はずっと頬杖をついて金髪の動きを見ていた。
「ユーリ陛下、修正いたしました。」
ギュンターの声に我にかえる。
「あ、ああ、そうか。同じ本何冊もあるんだろう?後で確認しないとね。」
「そうですね。では続きの時代を。」
ギュンターの朗読が始まったけど全然頭に入ってこない。
創主と眞王の対決の後半の話らしいけど、絶対本人たちに直接聞いた方がいいに決まっているなんて思ってるから全然気が乗らない。
そこ〜! ひとり抜けたら詰めろ!
ああ、またヴォルフラムの声がする。
思わす探してしまう。
厳しい訓練の指導をしているヴォルフラムをみると、傍にさっきこけて挫いた兵士がひとり座っている。ああ、完璧には治らなかったのかな? 休ませるなんてヴォルフラムって優しいなー。ギーゼラだったらもっともっとドヤしているよね。
「陛下、まだ続きがございますよ。」
ギュンターの方を向かされていても、ついつい意識が中庭に行ってしまう。そうやって、二階の窓越しに中庭のヴォルフラムをずっと見ていた。
ふと俺の視線に気がついたのか 俺の方を見て手に持っている馬の鞭を小さく左右にフリフリした。今までの厳しい顔つきと違って、柔らかい雰囲気が出ている。
う、なんか、可愛いかも。あいつは女子か。
おれもギュンターに悟られぬよう体で手元を隠して窓越しのヴォルフラムに小さく手を振った。なんでか知らないけど、自分の顔がにやけている気もする。
その途端、キラキラと輝く笑顔が出たのが離れていてもわかってしまって、なんだか胸が高鳴ってしまった。
あーもうこれ以上 汁王佐に付き合っていられるか!
「そろそろ、終わらないギュンター?歴史書の修正部位も見つかったところだしってか、今なら聞けるんだから眞王と村田に覚えているところらへんを聞き出して再編したら?。」
「そ、そうですね。間違った歴史書でユーリ陛下に講義なんて、ありえませんね。では、今日のところはこれで。」
「んじゃありがとうギュンター先生。」
俺の方がギュンダーに宿題を出してしまったよ。
さて訓練で疲れたヴォルフラムに風呂を用意しておいてやろうかな。それから冷たい何か飲み物とかあるといいな。酸っぱくて甘いものがいいんだけど。レモネードみたいなの。
疲れたあいつが笑顔になる瞬間を期待して、俺は厨房に足を向けた。
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◇あとがき◇
こういう可愛いのから入ってもいいよね。
授業中の窓から見える体育している片思いの彼を探す女子高生…を目指してみました。どうでしょうか。