■グエユ置き場■

□グウェンダルの秘密
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グウェンダルの秘密。

コンコン
「グウェンダル
入ってイイですか。」

「ユーリか。
ああ、入れ。」

グウェンダルが自室で今日も精神統一の編み物に没頭していた所に、眞魔国に魔王の俺様 渋谷有利が入っていく。
まだ 魔王と認めてもらっていないからかもしれないが、二人だけでいるときはグウェンダルは自然と俺の事を呼び捨てにしてくれている。
やっぱりこんなに年上のできる男に下から 「陛下」呼ばわりされる方が気持ちが悪いので 王佐とかは時々たしなめているけど、俺は気にしないというかむしろウエルカムだ。

「縫い針と糸貸して。黒糸があったらイイんだけど。」
「どうした。」
「学ランの袖のカフスがほら。」
って右袖を振るとボタンがぶらぶらする。
「これじゃもしもスタツアしたら異空間にちぎれて忘れるかもしれないし。」
「なるほど、ほら、針と糸。ああ、貸してみろ。付けてやる。」
「え?グウェンダル。ごめんね。メイドさんたちに頼めばイイんだろうけど、今なんか忙しそうで。」
「ったく。相変わらすだな。遠慮なくあいつらに仕事をさせろ。元来魔王であるお前の世話をするために血盟城の皆は存在しているんだからな。」

学ランを脱いでグウェンダルに渡す。
「そのシャツ」
「あ、これ?今日は学ランの下 Tシャツなんだ。いつもはワイシャツも着てるけどね。今日は暑いからワイシャツ無し。この間着てきたのを洗濯してもらってて。」
「可愛いな。」
俺を見つめる瞳がコンラッドみたいに優しい印象でちょっとドッキリする。
あの笑顔出ないかな。
「可愛いって、そりゃグエンダルから見たら俺なんてグレタとあんまり変わらないお子様に見えているかもしれないけど。」
ちょっと膨れてみる。
「そのシャツだ。」
「あ、シャツ?」
しまった。自意識過剰?最近みんなにちやほやされすぎた。グウェンダルもっと俺をリセットしてくれ。
「シャツね。ああ メンズのキティちゃんTシャツ。」
胸に飾りのポケットが付いていて、黒の線描きでキティちゃんの顔がさりげなくプリントされていた。
「お袋が買ってきて、メンズのワンポイントとはいえ恥ずかしいから、絶対下着にしかできないけど。」
「なぜ?似合っているぞ。」
ああ、グウェンダルは可愛い物好きではあるけどの基準がイマイチずれていたよね。
話題変えよう。グウェンダルがカフスボタンを縫い付けにかかりだした。その様子を見ている。
「出来たら持って行くぞ。」
「いや、すぐに出来るんでしょう?だから待ってる。」
「ああ。」

手近な椅子を勝手に引き寄せて座っちゃう。
本棚の隙間や出窓などに所狭しとグウェンダルの作品が並んでいる。あれ?
「写真立てがある。」
「シャシン立て?ああこの小さい額縁か?」
げ、全部俺の写真じゃん。しかも4つぐらいある。
「中身 どうしたんだ。」
「猊下に頂いたんだ。猊下はユーリの母上にお願いして複写してもらったと言っていた。」
…村田ーお袋ー!しかも 誰もが赤ん坊の時に一度はやられるオールヌードも入ってる。
「どれも気に入っている。」

「…グウェンダル…飾らないで」
「何故だ?眞魔国民は眞王陛下や歴代魔王陛下や猊下の肖像画を芸術絵画のように壁などに掲示するのは、愛国精神の表れということで盛んにされてきたぞ。
最近では眞王しか掲げられていなかった教会にユーリの肖像画の複製も掲げられ出したようだぞ。」
ぞ、それってあのヴォルフラムが描いたセミヌードのやつしかないじゃん。
教会にそんなもの いや待てよ、地球の神様や仏様もわりと露出多かったっけ…ああ、そんなこと思い出しても意味ねー!
「だったら今度村田の写真も持ってくるから、半分差し替えて。」
「…わかった。
私からも一つ頼みがある。」
「なに?」
「この部屋にユーリの絵が飾ってあることは口外しないでくれないか。」
「できるわけないだろう。恥ずかしい。」
「猊下が言うにはこれらの絵は値がつけられないほどの価値が出るらしい。」
「まあ、俺のちっこい時の写真んなんてコッチにはないはずのものだからな。」
「値が張るから置いているわけではないのだがな。」

猊下の写真には何故か興味はないが、手に入ったら並べよう。
もちろん、可愛いコレクション(ユーリブロマイド)の数を減らすつもりはないと思うグウェンダル閣下でした。
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