■グエユ置き場■

□サラサラ
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眞魔国と日本の共通点と言えば、四季があるということ?
雨季が過ぎると夏になること?

雨季が過ぎて、本格的な夏到来の眞魔国で今年、
俺様 渋谷有利は魔王陛下として 七夕の行事を地球から持ち込んだ。


老若男女いろんな人が願い事を短冊に書いたのを、血盟城の中庭に三十本ほど持ち込んだ竹ににた葉っぱをつける木にいっぱい括ってもらう。
いくつかは遠方の民のものもあって、それを城のスタッフがつけてくれた。もちろん俺もやった。

前日の夜に届いた短冊を7月に入ったばかりの早朝にパジャマのまま一人でつけていると、グウェンダルが追加の短冊を持ってきた。

「学校に行けますように」「病気が治りますように」「仕事がうまくいきますように」「子供が授かりますように」「彼女と結婚できますように」
などなど、国民の皆さんの願いをチラチラと見させてもらったりもした。
みんな、割と普通に当たり前の願い事だ。突拍子もないような欲深い願い事は、もうすでに金持ちのやつだったりするのだ。

「それで?ユーリの願い事は?」
グウェンダルが聞くので
「そんなの決まってるでしょう?」
ズボンのポケットから一枚出す。

【世界平和とみんなの幸せ】

「これに尽きるよ。」
グウェンダルが目を細めて苦笑する。
「それは魔王陛下としての願い事だな。」
そうだよ?
「では、シブヤユウリとしての願い事は?」

ハズカシながら、すごく小さな願い事。
もう一枚出す。

【…大学入試に推薦の枠が貰えますように】

呆れるかと思ったのに そうでもなかった。
「まだ、地球で勉強するのか?」
「うん、ちょっと色々勉強しとかなければならないことができたからね。」
「こっちでも学べるのでは?」
「もちろん 眞魔国でもべんきょうするけど、向こうの大学だけは出ておきたいな。そのあとは覚悟を決めて、こっちに永住してもいいかななんて。」
「そうか、こっちに永住してくれるのか。それは楽しみだな。」

「それはそうと、グウェンダルの願い事は?」
「これだ」
そう言って、グウェンダルの瞳と同じ色のサファイア色の短冊を見せてくれた。

【シブヤユウリと弟達に幸福を】

わ、まず俺なんですか。
「俺は割と幸せだけどね。」
「そうか、お前が幸せと感じてくれることを維持していくのも私たちの仕事だ。ユーリ陛下の場合それがこの世界の民の幸せにも通じるから。」
「そっか。」
「ユーリ、お前はここでもっと幸せになってくれ。」

もっと…って想像つかないな。本当に今充実しているし。
そんなことを感じてグウェンダルの瞳を見つめていたら、俺の好きな微笑みが出た。グウェンダルのこの顔が見れただけでも幸せかな。

なんて考えていたら サファイアの瞳の微笑みが近づいてきて唇が重なった。
なんでか俺いつもこの兄弟のキスが拒めない。
そのままちょっと深いキスを続けられる。おはようのチューにしては濃いような…。

ひとしきりキスをされてもう足元があやしくなってきたころ
グエンダルの唇が俺の耳元に移動して囁く

「こうやってお前に時々触れることができたらそれだけでいい。」

「グウェンダル…」
自分の顔が赤いのを自覚する。

「でもそれはさすがに短冊に書けない。」
まあ、それは無理だよね。
【グウェンダルがシブヤユウリに時々触れますように】ってか?
そんな変態チックな願い事は お星様もびっくりするって



「さあ、朝の会議が始まるぞ。」
「うん、夜の新しいイベントの打ち合わせだった。」

そうして 一度着替えに寝室に戻った。

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◇あとがき◇
大阪市営地下鉄のいろんな駅の駅長室の前に笹の葉が。
だんだん 短冊でカラフルになってきています。

でも、じぶんで短冊に字を書いたのは何時だったか、長いことやってないな。
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