■大人の裏マ■

□魔王陛下はみんなのもの
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ここは新魔国の血盟城の中の摂政グウェンダルの寝室。
三兄弟が真剣な兄弟会議中。
三人が話し合っているというのに、傍のベッドでは双黒の渋谷有利が学ランのままでクークーと就寝中。

「ねえ、ヴォルフラム。たしかにユーリは君の婚約者だけどね。」
コンラートがキラリと怪しく光る銀の星を散らした瞳で末の弟を見る。
それを跳ね返すように緑の瞳の主は話す。
「そうだ、初めこそ手違いのような婚約だったけど、僕はユーリを愛しているし、ユーリも僕を好きだと言ってくれた。」
「それはそうだろうけどね、魔王陛下はみんなのものなんだよ。」
爽やかな笑顔を作る。
「まあ、たしかにそうだな。」
目を閉じたままの長男が賛同する。
「兄上まで、ユーリを個人として扱ってあげないのですか?」
「魔王陛下という個人だな。」
うっ
つまり兄上たちは一体何が言いたいんだろう。
嫌な予感しかしない末っ子だ。

「おれも陛下を愛しているんだよね。」

「名付け親としてですよね。」

「いや、一人の魔族として愛しているよ。
グウェンダルは?」

「私もだ。お前たち兄弟や母上とは違う次元で大事な存在になっている。」

「コンラート! 兄上まで!」

「ユーリの可愛さに、いつでも所構わず接吻したりそれ以上のこともしたくなるって衝動を抑えるのがちょっと疲れてきたのさ。いつだったかグウェンダルも眠っているユーリに接吻していたのを見てしまったこともあったな。
グウェンダルもユーリを愛してみたいんでしょう?」
「まあ、そうだな。私もただの男だってことだ。」

「…兄上。」

「というわけで、それぞれコソコソとユーリを愛するのもヴォルフラムの手前ちょっと気がひけるというより、ヴォルフラム 、君の事を弟として愛しているからちゃんと言おうと思って。」

「なにを?」

「僕たち三人でユーリを愛するのはどうかなって。」

「なるほど。」

嫌な嫌な予感的中で焦る三男だ。
「だから、兄上までコンラートの意見に賛同しないでください。」

「大きな声を出すとユーリが起きるぞ。」

「ぐっ、
なんでこんな時によりによってユーリはこの兄上の寝室で寝ているんだ。」

「王の間は広いから寒いとか言ってたぞ。暖炉の火が消えていたのか?」
「知りませんよ。そんなことぐらい下僕をすぐに呼んでさせればいいのに、いつまでたってもユーリはちょっとした仕事を人にも頼めないへなちょこだから。」
「そこが陛下のいいところだろう?ヴォルフラム。」
「うー。」
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