■大人の裏マ■

□魔王陛下はみんなのもの
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しばらくして晴れのある日。おれは 眞魔国の建国記念日だということで、オープン馬車でパレードに出た。
沿道の民たちにずっと笑顔で手を振り続けていたら、座りっぱなしだったとはいえさすがに疲れきっていた。
いろいろあったし、その夜 地球に一旦帰ろうと 眞王廟に行くと 村田にひとこと言われた。

「なんかこの頃、渋谷 君ってすごい眩しいんだけど。」
「夜だけど、何が眩しいんだ? 村田?目の調子悪いのか?」
もともと近眼だからな、目は弱いんだろう?

「いや、そういうわけじゃなくて、渋谷が眩しいんだよ。昼のパレードのときもそうだったんだけど。」

「?」
眩しい? いつぞやのギュンターみたいなのですか?


「なぜユーリが眩しいか 俺は知っているぞ。」
眞王が口を挟む。
「どういうこと?」
「人はな、ユーリ、愛されると眩しくなるんだ。」

はい?

「ほら、新婚の花嫁とか 輝いているだろう?」
「うん、確かに、ニコラとか ヒューブが戻ってきた時にすごい綺麗になってたな。それは俺とは全然違うのでは?」
「いや、ユーリ、お前は今 いろんな人に愛されているだろう?」
まあ、心あたりあると言えるのかな?
「この国だけでなく、人間の国の人々からも新しい平和の象徴としてのユーリ陛下を愛しているんだ。それに側近のみんなも。」
「なるほど、それで渋谷が眩しく輝いているんだね。地球でいうスターのオーラみたいなものかな」
へ?さっぱりわかりませんが。
俺に芸能人のオーラみたいなのがあるの?

「もっともっと愛される存在になれ。ユーリ。さすれば、眞魔国の教会できっと俺や大賢者の隣に肖像画が祀られるようになるぐらい輝く存在になるだろう。」
「へ?教会に?やだよ。なんか死んだ人みたいじゃん。あ、ごめん。」
眞王が一瞬嫌な顔をした。
すいません失言です。

まあ、とりあえず魔王業をもっと頑張れってことなんだろう。
もちろん頑張るよ。
眞王。

それに愛するヴォルフラムと、そのお兄ちゃんたちのためにも。


でもね、先日の夜みたいな、三兄弟みたいな愛され方は

流石に



もうこりごりなんですけど。


『渋谷そんな状態で地球に帰ったら ソッコーでタレント事務所にスカウトされちゃうよ。渋谷とか原宿とか行っちゃダメだよ。』

おれの大賢者が不吉なことを言う。

これ以上忙しくなってたまるか。渋谷も原宿も行かないって。


FIN
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◇あとがき◇
まあ、とにかく うちの三兄弟は
ゆーちゃんにメロメロなわけですな。

って話をやっとお届けできましたかね。
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