■大人の裏マ■

□血盟城の秘密の部屋
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血盟城の冬は寒い。
石造りだからか見た目からして寒い。
それに俺の寝室はこの城で一番広い居室で、天井が高くて1つの暖炉だけじゃ暖房が効かない。
エアコンやホットカーペットの有る日本の実家が恋しい。
でも、さすがに眞魔国も年末は忙しいのだ。なかなか帰省はできない。

「なあ、ヴォルフラム。おれ明日から直轄地のあの民家から通勤しようかな。
あっちの方が夜は暖かいと思うし。」
あの民家とは、ダガスコスの隣にあるおれのもう一つの家。
先日まで火災で家を失っていた彼の同僚に貸していたのだが、建て直しが終わって元の所に帰ったという報告があった。

「この忙しいのに何を言ってるんだ。」
「だって、この部屋やっぱり広すぎて寒いんだもん。」
朝のロードワークはどんなに寒くてもへっちゃらなのに。
我ながら不思議だ。
「相変わらずヘナチョコだな。」
そういうと金髪が立ち上がってベットを出てしまった。

わがまま言ったから呆れた?

でも、部屋から出て行くわけじゃなく、近くでガサガサして回っている。
ああ、天蓋っていうベッドの周りのカーテンを閉めてまわっているのか。
そうして部屋の中にさらに小さな小部屋を作るとカーテンを少しめくってまたおれのベッドに入って来た。

一度布団を出た奴の体が少し冷えていた。相変わらずネグリジェ1枚だからな、脛は出てるし。
「悪い」
「いや、これでちょっとは隙間風を遮れるとは思うが。」
「サンキュ。ヴォルフラム。」
って言いながらヴォルフラムの体が温まればとちょっとくっつきに行く。
すると
「ユーリ。もうちょっと。」
「え?」
「ほら、こっち。」
そう言って、今度はヴォルフラムがおれの方にくっついてくる。
って思ってたらパジャマのボタンを外してくる。
「ちょっと、寒いんだってば。」
「僕も。でもユーリの温かい肌に触りたい。」
そう言って心臓の辺りに掌をあててきた。
「ひゃっ、つめた」
「ふふ、ユーリ温かい。」
その手がじんわり俺の体温と馴染んでいく。
「ヴォルフラム、お前もパジャマにすれば?ネグリジェって薄っぺらいじゃん。」
「そんなの脱いでしまえば一緒だ。」
そう言いながらおれのパジャマのボタンを残りをはずしていく。
「あ、コラ、明日も忙しいんだってば!」
「そういえば、僕が小さい頃この城で母上が過ごしていた部屋はもっと狭かったような気がするな。
しつらえの高級感は母上の趣味なのかもっと凄かったけど。僕が今使っているみたいな臣下の部屋のひとつだったのかな。」
動きを止めずに しれっと話題をそらされる。
「んっツェリさまが魔王の時の?んーそんな部屋使ってたんだ、ってあ!そうだ…」
ヴォルフラムを押しのけてパジャマを締めなおす。
「なんだユーリ?」
ベッドを抜けだして西側の壁にあるでっかい本棚に向かう。
「ヴォルフラム、前に見つけたんだけど。」
そう言いながら真ん中の本をいくつか抜いて床に置いていく。
ヴォルフラムがろうそくに火を灯して燭台を持って近づいてきた。
すると明らかに他の壁と違うオフホワイトに塗られたの板張りの壁のようなものが本棚の奥に見えてくる。
ろうそくの光できらめく宝石っぽい石と綺麗な金色の線で描かれた装飾が額縁のようになってクロス張りの壁と区切っている。
「これ…」
「扉のようだな。」
「何があると思う?」
「納戸にしては良い扉だな。」
「よし、本棚どかそう。ヴォルフラムは寝てていいよ。」
「そんなわけにはいかないだろう。」
「んじゃなんか着ろ!」
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