■マ王■

□お買い物《ソフト裏》
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少し前の日曜日。珍しく朝からいた親父が俺に改まって話があると切り出した。

見せられたのは2冊の通帳と1枚のキャッシュカード。 全部俺名義のものらしい。

「ボブから預かっているんだ。有利お前いつの間にか眞魔国ですごく働いているんだなあ。俺があっちに行くことはできないけれど、これお前の給料らしい。」
「え、魔王って報酬あるんだ。まじで?」

「向こうではどうなっているんだ?」
「お忍びで城下町に出るときや、旅行の時は小遣いみたいなのをもらうんだけど、普段はなんでも用意してくれるからそもそも買い物しないんだよね。」
「まーそうだよな。日本でも天皇陛下が日用品買うとか想像つかないしな。でも、日本では普通に高校生だから 食事以外は自分で買うだろう。」
「うん お袋に洋服頼んだら すごいセンスなんだもん。」
「じゃあ、これ渡しておくよ。コッチはボブがお前に振り込んでくる口座。コッチはその中から父さんが移している口座。」
ボブから振り込まれている金額はなんと毎月数百万もある。思わず桁を何度も数えてしまった。
「ひゃーすごい。こんなにもらっていたら執務に手抜きはいけないんだね。そうすると年収がちょっとしたプロ野球選手みたいになるって事か。」
小さい頃プロ野球選手を夢見たのは収入だけの額じゃなかったんだけどね。こんな額のお金どうすりゃいいのよ。
「びっくりしてるな。銀行員の俺の給料より遥かに高額な報酬だな。」
どおりで、あっちの貴族たちは城も建てられるって事だな。
「どうする?親父、もうリタイアして俺が養おうか。遊んで暮らす?ひょっとして眞魔国に移住したら俺の親父ってことで一生楽できるかもよ。」
「爺さん扱いするなよ。まだまだ働き盛りなんだから。それに、何もしないなんて世の中 暇ほど辛いことはないんだぞ。まあ、それは置いておいて
こっちの通帳とカードはまだ有利にもまだつかいやすい額にしているから、買い物の時に使ったらどうだ。」
あ、こっちなら月々数万円になっている。
「ボブのシステムだろうけど、新魔国からこっちに来ているお金だよね。ボブは金持ちだからわからないかもしれないけど、多すぎるから、日本円で入れる額をもっと減らしてもらうよう、頼めないかな。」
「なんで?使えなければ貯めていけばいいじゃないか。」
「いやいや、眞魔国からのお金をこっちに流したらだめなの。魔王の収入もあっちで使わないと、あっちの経済のためにならないだろう?」

「ギュンターさんだっけ、すごい勉強させてもらっているんだな。そうだな、コッチはまだまだ俺の収入でやっていけるから、ユーリにはこずかいで十分だもんな。ボブに頼むよ。」

それにしてもあの額は、給料が高いってことはそれだけ責任がある仕事なんだな魔王業って。なんか数字を見て改めて気の引き締まる思いだ。
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