■大人の裏マ■

□恋煩い ユーリVer.
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「あれ?陛下おかえりなさい、いつ戻ってこられたんです?」
さすが。魔王専用の大きな湯殿の小さい水音に気づいたんだね。
「コンラッドただいま。 たった今だよ。眞王廟からこっちに直接スタツアして。」
「すぐに着替えを持ってきます。」
「うん。」

なんか、人の気配が少ないな。もうみんな休んでいるのかな?

「コンラッド、なんか静かだねえ。」
「眞魔国は今 農耕の祭りのシーズンで、十貴族の自分の領地の祭りで帰省しているのです。」
「あーなんかそういうこと言ってたな。それぞれの十貴族に呼ばれていたけど不公平があったら揉めるかもということで、俺はどれにもいかないことにしたんだっけ。」
「そうです、それで再来週、この陛下の直轄地で集大成のお祭りをするんですけど、あなたはその祭りの要にいてもらわなければいけないから。
それで、いまは十貴族でもなんでもない俺と、メイドのエーフェが一人残っているだけです。」
「そっか。コンラッド一人じゃ負担かけちゃうね。」
「なにをおっしゃいますか、負担なんて、むしろ陛下を独り占めできるなんて嬉しくて。」
「いつもいつも、陛下っていうなよ名付け親。」
「そうでした、ユーリ。」
「そっか、みんないないのか。」
せっかくこっちに来たのに。
「ユーリ、俺だけじゃものたりないですか?」
「そ、そんなことはないんだけど。」
そんなことあるのかな。

「夕餉は食べられました?」
「ううん。この頃食欲がなくて。」
「それはあまり良くありませんね、停滞期に入ったとはいえ成長期なんですから、ちゃんとお食事をされなくては。」
「わかってはいるんだけど。じゃあエーフェに頼んできてくれないか、軽食できるかな?」
「はい、行ってきます。」

テラスにでて、出しっぱなしのベンチに腰をかける。
本当だ、血盟城はまだ真夜中でもないのに明かりのついている部屋が無くて真っ暗だ。街灯とかもないので辺りもずっとずっと暗い。
ああでも、星空が綺麗だ。こっちにも星座とかあるのかな?あ、月。よく見たら模様が違うな。地球は餅つきしている うさぎ(かなり無理があるっていつも思うけど)だけど、眞魔国の月の模様にも名前あるのかな。ってそんな事もまだ俺は知らないんだな。そんなんで王様なんてさ。

どうでもいいことでいちいち凹む。我ながらうじうじしているよね。

あいつ今頃どうしているかな。叔父さんに俺の悪口を言われていい訳でもしてくれているかな。
…せっかく戻ってきたのにな。…へなちょこ って聞きたいな。
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