■大人の裏マ■

□恋煩い ユーリVer.
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「ふう。」
何度目かのため息が出た時だった。
「…!」
後ろから抱きしめられてしまった。
「ユーリ。」
「コンラッド?」
「すみません。ユーリ、あなたが…なんと言ったらいいか、消えてしまいそうで。
幻かと思ってしまって、幻でもいいから引き止めたくて。
どうしたんですか? ため息ばっかりだしいつもの弾けるような元気がないですね。」
「うん、村田にも言われたよ、地球で。
それで、こっちに帰ってきたら治るだろうってあいつが言うから来たんだよね。」
振り向くとコンラッドが見つめてきて、俺も茶色の瞳を覗く。
「今ここで見たらコンラッドの目も漆黒に見えるな。でも銀の星が月に生えて綺麗だ。」
「ユーリの目の方が綺麗ですよ。
こんなに艶やかな黒い瞳は 地球にも黒い目の方はいらっしゃったけど、あなたの瞳はまた違います。
俺、黒い色に艶があるなんて、ユーリに逢うまで知らなかったんですから。きっと俺だけじゃないとも思いますけど。」
「そうか?まあ、多少の違いはあるみたいだけどね。」
「ユーリ。」
正面に向き直って改めてコンラッドが抱きしめてくる。
「きょうはヴォルフラムがいないから遠慮がいらないな。」
そうやって笑いながら俺の顎を捉えて顔を近づけてきた。
俺もなぜか抵抗すること無く成り行きに任せていると
コンラッドが俺の下唇をペロリと舐めてそのまま唇を合わせてきた。
舐めてからキスをしてくるところがあいつと同じで思わず ニヤける。

ふふっ

コンラッドがキスをしてきているのに、あいつの事を考えている俺って。
何度か角度を変えて唇を合わせられてきたのをされるがままになっていたけど、だんだん深くなってきた。

緩やかにコンラッドの胸を両手で押して抵抗する。
「ユーリ?」
「ごめん。えっと、悪いけどなんか違うな。たしかに。」
「俺では慰められませんか。」
「うん、そうみたい。」

「では 明日白鳩便を飛ばしましょう。ヴォルフラムに帰ってきてもらう様に。」
改めて名前をきいて 心臓がドクンとした。
「うん。」
さすが名付け親、俺より俺のことわかっているみたいだな。

ヴォルフラム 会いたいよ。
ヴォルフラムのキスが恋しい。
何時もは抵抗したり、嫌がって見せたりしているけど、



「ユーリ、ユーリ!」
コンラッドがまた俺の名前を呼ぶ。
「大丈夫ですか?」
大きな手が俺の頬を撫でて親指が目尻をこする。
「あれ俺…。」
情けない。寂しくて泣くとか。

気を取り直してコンラッドから離れるように動く。

寝室に入って小さなテーブルセットに座る。さっきコンラッドが持ってきてくれた軽食が置いてある。
「ユーリ、今、次元移動してはいけませんよ。そんなに弱り切った状態でこれ以上魔力の負担をかけてはお体に障ります。」
「うん、分かってる。今日はまだ早いけどこれ食べて寝るよ。エーフェがサンドイッチ作ってくれたんだね。心配させてごめん。」
コンラッドがぶどうのジュースを注いでグラスを俺のそばに置いてくれるのへ
「サンキュ」と言っていつもの笑顔を頑張って作る。
心配かけてどうするんだ俺。しっかりしろ。

でも 俺、今 自分で自分をコントロールできないんだ多分。しかし今スタツアはやばいって分かる。

軽く食べられたからかちょっと元気が出てきたみたい。
「コンラッド、アオで行くよ。」
「ユーリ朝まで待って下さい。一眠りはしなくては。」
「うん。」
そうだ、今出かけるとコンラッドに徹夜をさせてしまう。

もう少し我慢だ俺。

寝巻きに着替えて 大きな大きなベッドに入る。今日はグレタもまたアニシナの実家らしいからいない。
大きなベッドは一人ではやっぱり寒いな。

せめて夢の中であいつに逢えたら…。

まどろんでいると蹄の音がかすかに聞こえてくる。誰かが帰ってきた?

それとももう夢の中?
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