■大人の裏マ■

□TELEPATHY or SYMPATHY 2
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バシャ
うわ つめてー 気持ちいい!って叫びたいのをちょっと堪える。
やった!夜の眞王廟の泉に来た。今回の目的が寝不足解消なだけだから、村田はいないんだよね。

こっちの季節はいつだろう?ちょっと涼しい。良い感じ。
ずるいかもしれないけれど、ここで少し睡眠時間を稼いでもう一度地球に帰れば、今日の夏期講習もバッチリだよね。

びちゃびちゃの服のままで泉に一番近い部屋に入る。
廊下濡れちゃったけどごめんね。 でも、この部屋にバスタオルやら俺や村田の服を置いてもらっているんだよ。

下着にワイシャツと学ランのズボンだけ履いて(さすがに俺のパジャマはここにはなくて)ペタペタと裸足で仮眠する場所を探して歩く。さっきの部屋で靴が見つからなかった。
でもなー、本当はここは男子禁制なんだよね。出入り自由な魔王とはいえ、どこで寝たものか。はっきり言ってまだ眞王廟の間取りはいまいちわかっていない。
血盟城だってコンプリート前だ。
うっかり巫女さんの寝室に入ったら大変。

「あ ここに来ちゃった。」

『よく来たなユーリ、入ってこい。』
託宣の間の扉の前に立つと 眞王からのテレパシーが来た。

ギイ
「こんばんわ。」
「どうした?ユーリ。」
「ちょっと寝るところを探しているだけで。2〜3時間寝たら地球に帰るから。」
「そうか。ではここで眠ると良い。」
え?ここで? どうやって?この床 ピータイルばりに硬いよ。
って思っていたら
風の終わり だった箱から 眞王がなんか出してきた。
毛足の長いラグだ。畳まれたものを広げてくれると二メートル四方ぐらいある。
続いて 凍土の刧火 だった箱から 色々なクッションや毛布を出してきた。

うわあ、託宣の間の一角が一気にリラックスコーナーになった。

「すごいね。」
「ウルリーケには内緒だぞ。」
そう言って いたずらっぽく笑う。
「んじゃ、ありがたく。」
隅っこに流れている水で足を濯いで、着替えた部屋から持っていたタオルで拭いてから ラグにお邪魔する。
眞王以外でここに寝転んだのは俺が初めてじゃね?
なんて思いながら、一つのクッションを抱えて横になると いつも明るい部屋が薄暗くなっていく。
単調な水の音が不思議と眠気を誘う。
「ゆるりと眠れ。」
そんな声がして おでこに柔らかな感触がした。
「ありがとう、おやすみなさい眞王陛下。」
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