SHORT STORY
□生なる日を貴方と
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今日も仕事が忙しい貴方はきっと自分のことすら忘れているのだろう……
いつも通り書類をまとめ電伝虫をとり、お茶を入れ、一緒にお昼を食べて、各部署へ書類を届けに行く……なんら変わらぬ日常。
でも、今日は違うのだ。
いつもとは違う。
そう思っているのはきっと私だけ……
だって貴方は変わらずこうして会議に出席してるんだもの…
周りだって知らないかもしれない。
少しでも気づいて欲しくてちょっと良いお茶、ちょっと良いお茶菓子を出してみても何も変わらない。
「…何じゃえらく機嫌がええのぉ」
と言う始末。
本当に忘れているらしい。
でも、仕事中に私情を挟むのを彼が嫌うのを知っているから何も言わない。
残り1時間に迫った定時。
このまま何もなければすぐ上がれるはずだ。この日のために少しずつ書類を終わらせてきたのだから。
……よし、今日の分は終わりだ。
これからはプライベート。
さぁ忘れているであろう本人にもそろそろ思い出してもらうとするか。