[ブ]short story

□オレがきみを、想う気持ち
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快斗Side



「あの子と同じクラスだ、ラッキ〜」



2年に進級し新学期、
青子と走って登校した。
グチグチ文句を言う青子には耳も傾けず、廊下を歩いていると
教室に入る前に同じクラスであろう男子生徒たちが何か盛り上がっていた。

「わりぃ、オレ、トイレ行ってくるわ。」

「いってらっしゃ〜い…へぇ疲れたぁ」

なんて言いながら、幼馴染の青子は疲れた様子で教室に入っていった。
用を済まして廊下を歩いていると、隣のクラスまでオレのクラスを盗み見るように覗いている。

「やっぱ、かわいい。同じクラスのヤツいいな」

「まったくだぜ…」

そいつ等の横を通り過ぎて教室に入ると、一人だけ雰囲気の違う女子生徒に目が行ってしまった。
もしや、アイツ等が言っていた人ってこの人なのか?
一番後ろの席で外の景色を眺めているから彼女の顔はまだ見れねぇな…

席順を確認すると、ラッキーなことに彼女の隣の席だった。
そっと自分の席に歩いていく、

『今年の桜はきれいね』

席に着くなり、独り言だろう外を眺めている彼女から声が聞こえた。

「今年は去年より早い段階で満開らしいぜ」

オレは彼女の独り言に返してみた。すると、彼女がオレに振り返ると、
予想以上の綺麗な顔立ちにオレは目を見開いてしまった。ん?この子さっき校門にいた様な…。

「オレ、黒羽快斗。よろしくな」

悟られない様に手からさっき取ってきた桜の花を差し出し、
自分の名前を言った。

『!?……あ、よろしく。」

大きな瞳を見開いてオレの顔を見るなり何か思い出したような顔になる。


確かに、みんなが騒ぐだけあるなぁ
そういえば、1年の頃、可愛い子が入学してきたとか噂が流れてたっけ?オレはそんな事どうでもよくて…気にしていなかったな。

それがこの子だったとは。確かに可愛い。


彼女の名前は旧姓名前。
苗字ではなく名前を呼んでみると、
彼女の顔は茹ダコの様に赤く染まっていくもんだから、熱でも上がったのかなと名前のおでこに手をやるとそこまで熱はないみてぇだ。もしかしたら、あがり症なのかも…

「熱はねぇみてーだな。名前って、結構恥ずかしがりやなのか?あはは」

『ち、違います!!…異性に名前で呼ばれることがあまりないのでつい……あっ!(汗)』


ありゃ、それは本音ですかい?
異性に態勢ないんだなコイツ。ってか、異性って…言い方(笑)
落ち着きがなくなりチラチラと他所を見るしぐさに可愛らしさを感じた。



彼女の大人びた綺麗な顔立ちとは違い、中身は初心な可愛らしい女の子だとわかったオレは彼女をなぜかもっと知りたいと思ってしまった。













なんて、オレは数ヶ月前の事を思い出していると…

『快斗くん、そんなにあたしの顔ジロジロ見ないで。』

「!?わりぃ…。ついオメーの綺麗な顔に見とれてた。」

悪びれもなくオレは笑顔で名前にそう伝えると、急に立ち上がり教室を出て行ってしまった。ま、またですか…

そいう所が毎度毎度可愛らしい。
まーた、青子に「名前ちゃんを茶化しちゃダメでしょ!」なんて言われるんだろうが、茶化してるつもりはねぇんだけどな。本当のこと言ってるだけであって…。


名前が落ち着きを取り戻して教室に帰ってくるまでオレは頬杖を付きながら外の景色を眺めて待つことにした。











そういやぁ


初めて名前を見た時にはもう、オレ――



好きになってたんだぜ?














オレがきみを、想う気持ち

(き、きっ綺麗な顔って…言われた///)


Promise、01-Another Story-
2016.05.21

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