[ブ]short story

□少女漫画
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快斗は青子の家でいつもの様に晩飯を済ませ、
ソファーでくつろぎながらTVを見ていた。
その隣で青子は自分も持っていた名前と同じ少女漫画を読む。


テーブルに積み重なっている続巻数冊、
それを見ては、TVにまた視線を戻した。


読みたいってわけでもないが名前が読んでいた漫画だ、少し気になっていた。

「やっぱ、6巻目はキュンキュンする〜!――シャワー浴びてくるね〜」

「おう」

そう言って、青子はソファから立ち上がりシャワーを浴びにその場を後にした。
リビングに彼女が居ない今、この漫画を読むチャンスが訪れた

「青子見られたら堪ったもんじゃねぇからな――」

と、6巻目から読み始めようと思ったが、先ずはざっくりと1巻目をパラパラと読み始め――












「へぇ〜、快斗もそういうの読むの好きなんだ」












耳元から聞こえた声に、背筋が凍った。恐る恐る振り返るとシャワーを浴び終えてリビングに戻って来た青子で、ニヤリと面白いものを見たような不敵な笑みを浮かべていた。

面白くて、見いってしまった快斗は青子の気配にも気づかなかったようだ。
額から冷や汗が流れる。

「読みたいなら読みたいって言えばいいのに。快斗もなかなか読むの速いんだね〜次の6巻は胸キュン間違いなし。」

ざっくり1巻を読むつもりが面白くて5巻まで読んでしまっていた。

「お、おう(汗)」

あまり気にしていない青子は冷蔵庫に向かい冷たい炭酸水を呑む。
彼はその6巻目を読み始めた――



「ッ――――///」



そして、快斗が赤面することになるなど言うまでもなかった。


「フフ……(男でも赤面するんだ。)」











それから数時間が過ぎ、苗字邸では――





『うわぁッ///――』

名前は部屋で漫画の続きを読んでいると、一瞬にして漫画を閉じてしまった。
心臓の鼓動が激しく脈打つ。
読んでいたのは青子が気にしていた6巻目。



普通の女子ならば、キュンキュンする場面なのだが、快斗と名前にとってはあることが重なって赤面するしかなかったのだ――






そう、名前が怪盗キッドに想いを伝えたあの場面とセリフは違うが同じシーンであったからだ。




『あの時と同じじゃない///』

ちらっと眼を開きその続きを読むと、男女の行為が描かれていて
名前の顔は熱で茹であがっていく。


『!?もし、もしキッドが止めなかったらそのまま…そのまま――』




「名前嬢を抱いてたかもしれませんね」




耳元で聞こえた声に名前はビクッと体を強張らせ、その拍子に読んでいた漫画を落としてしまった。


『きっ…キキキキ”キッドさん”!?』


「おっと、急に他人行儀ですか?困りましたね…――



私と”甘いキス”まで済ませている仲なのに」



あいさつ程度のキスではない、お互いの気持ちが通じ合った時にするであろうあの甘い絡み合う、とろける様なキスを一瞬にして連想させるその言葉。


名前の耳元に息がかかるほどの甘い声をかけ、彼女の耳に唇を這わせと同時にワザとリップ音を響かせた。

『んっ……――』

名前の吐息が漏れると、うな垂れるようにキッドの胸に倒れ込んでしまった。

キッドの意地の悪い行為に名前は耐えいきれず気を失ってしまったのだ。




「アハハ、やり過ぎたみてぇだな…(汗)」



普段の彼に戻り名前を抱き留めながらそう呟いた。






少女漫画



あとがき→快斗も少女漫画を読んで赤面するほど重なってしまった”あの出来事”(promise 28話 参照)。だがしかし、彼女をからかうには最高の出来事だったらしい。(意地悪なヤツ)フフフフフフ

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