[ブ]short story
□七夕
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『今日は七夕なのに天気が悪いなぁ』
7月7日、織姫と彦星が年に1度逢える日。
なのに今日の天気は生憎の曇り空で、星の一つも見えていなかった。
ベランダに出て、曇りの夜空を見上げて名前はそう呟いた。
『年に一度しか逢えないのに…――』
なんて、おとぎ話をいまだに信じている名前は溜息が漏れる。
織姫を自分に例えて考えれば、快斗が彦星で…年に一度しか逢えないなんて思うとこんな悲しいことはない。況してや、天気が悪ければ翌年まで逢えないのだ。
『好きな人に逢えないなんてつらいよ…。』
愛し合っている2人が年に一度しか逢えない、
やっと快斗に好きと言う気持ちを伝えたのに逢えなくなるなんて…。そう、自分と重ねてしまう
『快斗くんと逢えなくなるなんて嫌だな…』
「うれしいコト言ってくれますね。名前嬢――」
俯いてそんなことをつぶやくと、大好きな彼の声が耳元で聞こえた。
隣にはキッドの姿をした彼がいる、大好きな黒羽快斗が。
「ホント、私は名前嬢に愛されてますね。それ以上に私はあなたを愛していますが…」
『快斗くん。――』
快斗は優しく微笑んで見せた。すると、ぎゅっと快斗に抱き着く名前に何かを察した彼は彼女の華奢な体を優しく包み込んだ。
「――年に1度しか名前と逢えなくなる運命なら、オレはそれをぶっ壊して毎日でも何度でもオメーに必ず逢いに行く。」
『!!――…フフ、快斗くんらしいね』
さっきまでどこか悲しい表情の名前だったが、彼の言葉で笑みを浮かべた。
「毎日逢いに来るって約束する。」
『また、新たな約束できたね。絶対、逢いに来て――』
「ああ、必ず守るぜ!」
そう言って見つめ合うと、どちらともなく唇を重ねた。
あたしの願い事は【この約束がずっと守れますように。それから、あなたの隣にずっと一緒にいられます様に】ってことかな。
七夕
(ねぇ、七夕だけど何か願い事決めた?)
(ん?そーだなぁ…今は――)
(??―――)
(さっきのキスでオレの気持ちが興奮してるから名前を押し倒して食べたいってことかな!うりゃっ)
(!?――そ、それ願い事じゃなーいっ!!…ちょっと…っ)
-END-
あとがき→七夕関係なくなっちゃった(笑)
2016.07.07