[ブ]お兄さんに恋した妹さん

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翌日、昨日よりは少しマシになった体で真純にポアロに呼びつけられた。
昴さんはいまだに心配している、ちょっとは良くなったから大丈夫だってなんて笑って見せる。



「送りましょうか?道中で気分が悪くなっても困りますので」
『大丈夫!健康のために歩いていくよ!いってきまーす』
「………まったく」



と、言いつつも完全によくなっていない…が、昴さんに心配かけたくないので元気よく工藤邸を出て行ったが直ぐに顔は素に戻る。


それから何とかポアロに着き、真純と他愛のない話をしていると、真純の顔がニヤリと笑った。



「名前姉、沖矢昴さんと住んでるんだってな」
『ブフッ!?……え、なんで知ってんだよ』
「この前、コナンくんがポロっとね」
『あのガキ……懲らしめねば』
「悪気があって言ったわけじゃないから勘弁してくれよ」
『まあ、バレてもなにも問題ないから別にいいけどさ』
「沖矢さんなら、名前姉の色気も通じなさそうだから安心だよ」
『それ、嫌味に捉えていいか?真純』



へっへっへ、真純は知らないだろうが…この前、昴さんに犯されたからな!言わないけど言ってやらないけど☆
あなた達の賭けに世良名前は勝ったのだよ!ふははは



「ごめんごめん、ちょっとは名前姉も落ち着いたってことでしょ?」
『いや、昴さんの他に男いるし…ひーふーみーよー「多すぎ!!」…ウソ、2人』
「2人も多すぎだろ!」
『大丈夫!付き合ってないから浮気じゃない』
「そういう問題でもない…。ちょっとは自分の体大事にしないと大変なことになるよ?」
『!?……』

「でもね名前ちゃん…無茶したらダメよ。自分の体は大切にしなきゃ――」

『真純もそう言うか…』
「名前姉…?」
『自分のコトは自分がよくわかってる…ごめん、もう帰るわ』
「!?……名前姉ぇ!」



有希子さんも真純もあたしの気持ちなんてわかってないくせに…。
正しいコトを言われているのに…嫌気がさしてしまう…。気持ち悪さもぶり返してきて、お金をテーブルに置くとポアロを後にした。
名前を呼ぶ真純の声なんて聴く耳も持たないまま走り出した。
イライラする…こんなことで怒るような性格でもないのに、どうしたんだろう…きっとこの風邪の所為だ…。



『気持ち悪い…吐きそう…』



昴さんに迎えに来てもらおうと携帯を取り出しホームボタンを押すとディスプレイにアプリの通知が入っていた。



『…………まさかね』



通知画面を閉じ、昴さんに迎えを呼ぶのはやめよう。


あたしは工藤邸と反対方向に歩いて行った。






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