[ブ]お兄さんに恋した妹さん
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泊まる宿も中々見つからないまま、街中を永遠と歩いている。
ネカフェにでも泊まるか…、真純のとこに転がり込むか…。でも、今のあたしの状況を知られくないな…
『どうしよう……フラフラする…』
少し覚束ない足取りで歩いている、もうココ何日かろくにモノを食べていない。体力の限界が訪れていた。無理にでも食べとけばよかったか…
視界が朦朧として来た…これは…やばい。
すると、ドンと誰かにぶつかってしまった。
『ご、ごめんなさい…ッ』
「!?…大丈夫?…こちらこそごめんな」
『あ、…いえ……っ失礼しm―――』
「ちょっと、キミ!?……」
長身な彼から離れようとしたとき、
あたしの意識が途切れてしまった――。
***
ココは…―――
白く霞んだ視界から見えるのは病院?……見渡すと女性と子供がたくさん居た。
すると名前が呼ばれて、助産師に半ば無理やり検査室に入れられ内診を受ける
『!?……ちょっと…ッ』
何が何だか分からない…すると、下半身に圧迫感が訪れて顔が歪む…痛い…。
ココに来た覚えはないし…なんでココにあたしが居るのかも分からない…頭が混乱し始め、意識が遠のいて行く――
数秒後に目覚めると次は、女医と1対1の場面に切り替わりカルテに何かを書いている。そっとペンを置くとあたしに向きニッコリ笑って―――
「おめでとうございます。―――」
『!?!?………ッ』
聞きたくなくて、声を発しようとするとパッと目が覚めた…
目の前の天井はさっきとは違い、暗くやけに黒ずんだコンクリート天井だった。夢だったのかと少し安堵していると額から汗がにじみ出る
起き上がろうとするとガチャと手元から引っ張られる感覚に気づき、そこに目をやると手錠で策に繋がれていて、あたしはとんでもないところに来てしまったのだと額の汗が冷や汗に変わる。
『ウソでしょ……!?』
ここまでの経緯が思い出せない…。
朦朧とした視界の中で彼にぶつかって…それから――!?
「目覚めたようだね」
声のする方に目を向けると暗い部屋の隅にポツンと男が立っていて、その人は間違いなくあたしとぶつかった彼だった。あたしの方にゆっくり歩いてくる――
「いきなりキミが倒れた時はびっくりしたよ。あれから全然目覚めないから死んだのかと思ったけど大丈夫そうだね」
『…………』
バクバクと心臓がうるさいが黙ったまま彼を見る。
ペラペラ話し続ける彼によると、あたしは丸1日は死んだように寝ていたらしい。
吐き気は治まったものの、体の不調はいまだに残されたままだ。
それは兎も角、なぜあたしが拘束されているのだ…。
「なぜ、拘束されているか疑問を持っているようだね」
『………』
「俺のコト知ってる?」
そういってあたしは首を横に振る、すると彼はあたしの隣に座ると体が反射的に距離を取った。
「最近、女性を狙った誘拐事件が多発してるニュースを見かけないかい?」
『…あたし、TV見ない』
「へぇ…それは良かったと言うべきかな。キミもその仲間に入れてあげようと思ってね」
『!?…意味が解らない』
「だって、キミ…ずっと途方に暮れたように歩いてたじゃないか…行く当ても見つからないような顔でさ」
『………ストーキングしてたのか』
「お目当ての女の子がいないか探していたら、偶然キミを見かけてね…それで話かけようとしたけど、キミがぶつかってきて今に至ってるんだよ。これって運命かな?」
なんだ、この男は…ニヤニヤと笑いながらそんなことを言う。最初からあたしは付けられていたのか。体調が悪くなかったらこんな男、拘束されていない足でどうにか蹴りを付けれるのに、こんな時に限ってあんなコトさえなければ…。
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