[ブ]Promise

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男が車を停めた場所は、古びた小屋の様な場所で
名前を抱きかかえるとその小屋に入っていった。

ベッドに名前を寝かせて、縛っていた縄をほどくと
他の令嬢とは違う整った顔立ちに見惚れ、うれしさで高笑いしてしまう。

「あははははははは!こんな達成感は初めてだぜ。――こんな可愛い娘を隠しているとは苗字財閥も隅にはおけねぇな。」

頬に触れると、気を失っていた名前が目を覚ました

『ん………』

「目覚めたかい?お嬢ちゃん」

『!?……きゃあああああ』

自分が置かれておる立場に再び気づき悲鳴を上げるが男はにやりと笑う。

「そんなに叫んでも、ここじゃ誰も気づいてはくれないよ?」

『ぐッ………ひッ……』

恐怖で瞳から溢れんばかりの大粒の涙が流れる

「そんなに泣かないで?他の令嬢とは違って殺しはしないよ?君は特別――」

『―――』

名前の耳元に顔を近づける

「だって、お嬢ちゃんのその可愛らしい顔や体を傷つけたくないからね」

そういうと男は名前の耳をなぞるように舐めたのだ。

『ひッ!?………』

ヌメった舌の感覚に逃げようと男から離れるがしっかりと抱きしめられて身動きが取れなくなった。

「初めての感覚だったね、大丈夫、優しく可愛がってあげるからね」

首に巻いていたマフラーを荒く脱がし、服に手をかけようとしたとき、小屋の入り口からコンコンとなる音が聞こえ、男は驚いた。

「しゃべるなよ、じゃないとどうなるかわかってるね?」

男に睨まれ名前はうなずくしかなかった。
そして、いまだに音が鳴る入り口をあける

「こんばんは。すみません、急に。」

「いいえ、なんのようですか?」

男は声色を変え、優しい口調でその訪れた人物に話しかける。

「あの…子供が見当たらないんです。偶然、小屋を見つけたものですからあの子も迷ってこの小屋に来てるんじゃないかと思いまして――」

そういうと、男の顔は引き攣る。

「子供?来ていませんが……」

「そうですか……ありがとうございました」
――ガタンッ

男の後ろから何かが落ちる音がして、振り返る。

「!?……(ちッ……何してんだ)」

弁解しようと訪ねてきた男に振り返ると顔にスプレーを吹き付けられた。

「うわああああああ!目がッ……くそッ」

目の痛みで倒れて、床でもがく。
訪ねてきた男性は小屋に入ってベッドの上で怯える名前を見つけた。

「ぐッ……お前!何者だ!!!」

「安心してください、警察ではないですよ?――世間を騒がせている大怪盗」

普通の格好をしていた男性はその服を引っ張ると白いタキシードとマント、シルクハットを被り右目にはモノクルを付けた人物に変わった。

「”怪盗キッド”です。」

「おまえッ……宝石に盗んで帰ったんじゃなかったのか!!」

痛い目をうっすら開けて怪盗キッドを睨む犯人

「私は予告状通りに宝石を盗むことができました。でも、あなたに渡してあったGPSを返してもらうの忘れていたもので―ーー」

「いつの間に…どこだ!?」

犯人はGPSを探すがどこにも見当たらない。

「あなたが着ているその”防弾チョッキ”ですよ」

急いで普段着に着替えたため、中の服は防弾チョッキを着たままだった。
うかつだった…。

「防弾チョッキにGPSを組み込ませていましたので、あなたの居場所はすぐにわかりました。奇跡的に彼女の居場所もね…助かりましたよ誘拐犯さん」


ポーカーフェイスを崩さない怪盗キッド。


男は自分の着ていた防弾チョッキを脱ぐと投げ捨てた。

「くそッ!!!!」

男は徐々に見えてきた視界で刃物を取り出すとキッドに襲い掛かるが、構えたトランプ銃で相手の手を掠らせて刃物を除かし、取れない様に遠くへ蹴る。

「――-ッ!」

男がその痛さで膝をついた隙に名前のところへ行き抱きかかえる。

『!?まってっ……』

抱きかかえられた名前はそれを解くと、
さっき脱がされたマフラーを手に取り、素早くキッドにしがみ付いた。

「それでは、――-失礼いたしました。」

ポンッと煙に包まれると、名前と怪盗キッドは姿を消した。


「くそおおおおおお!!!」

男の叫び声は夜の静寂を壊した。








14:救世主(回想)
To Be Continued...


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