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「旧姓さんって、あの苗字財閥の令嬢さんだったの!?」


翌日、名前は学校に登校できるようになり、
クラスの生徒に早速その話題が降りかかってきた。
苗字邸に警察が紛れ込んでいることは犯人を確保する時にバレて、テレビ局もやっと捕まるかもしれない常習犯の犯人をスクープするために苗字邸に張り込んでいて、情報はすぐに漏れてしまった。
最初は、怒っていた雅人も、「もう、いいんじゃありませんか?もう名前は17歳。一人でも大丈夫よ、それにそんなに縛っておいたら可哀想だわ。」と母の助言でメディアに流れることに。

それはそれは、世間に流れる名前の美しくどこか可愛らしい姿に見惚れる人が続出。
財閥令嬢ではNO.1ともネットで書かれていた。そのランキングでの園子の順位は秘密…。

そして、こんな近くに財閥の令嬢が居たんじゃ、学校中の注目の的である。

『そうなの……うん。(呆)』
――これ、言われるのクラスにたどり着くまでにもう何回目かな…

呆れて笑顔も引き攣ってしまう。

「じゃあ、その旧姓って偽名なの?」

『ううん。母の旧姓なの。』

「そうなんだ!それにしても令嬢としてみるとさらに美しくて可愛いわ!」

『ありがとうございます。』

名前の久々に聞く敬語と微笑みにクラス中のみんな惚れた。





「うわぁ…名前の周り人多すぎて、オレの席まで埋まってらぁ〜」

ちょうど、快斗と青子が登校してきた。

「それもそうでしょ!だって、あの苗字財閥の噂の令嬢さんだったんだもの!」

キラキラした瞳で青子は頬を染める。

「やっぱり青子、名前ちゃんはどこかの令嬢さんじゃないかって確信してたのよね〜」

「ウソ言うな。(呆)」



そして、人込みをかき分けてやっと席に着いた快斗。

「おはよう。名前」

『おはよう、快斗くん』

「大変だったな、いろいろ…」

名前の正体も名前の過去も世間に流れ、同情する人も現れるが、”令嬢”であるという話題の方が上回る。
それでも快斗は同情側になってくれた。

『!?……うん、もう大丈夫だよ。犯人も捕まってくれたしね。』

「そうか」

安堵の顔をする快斗に名前も釣られた。


「旧姓さん!!いや、苗字さん!!これってホント!?」

2人の間に入ってきた女子生徒が携帯で昨日のニュースを見せてきた。

「”見事!財閥令嬢殺人誘拐犯を捕まえた高校生探偵、工藤新一の他にも怪盗キッドが令嬢を救っていた!?”って書いてあるんだけど、本当なの!?」

キラキラとした目で訴え来る女子生徒、
名前は確かなことなので頷いて見せた。

「きゃああああ!キッド様素敵ぃいいい!!!」
「さすがだわ!キッド様!!」
「惚れるぅ〜」

黄色い声がクラスを沸かせた。

それを他所に、聞いていた快斗はふと隣を見やると茹ダコの様に真っ赤な顔の名前が口元を抑えていた。

『///………』

昨日、怪盗キッドにキスをされたことを不意に思い出してしまったのだ。
その様子に、快斗も怪盗キッドの姿で名前にキスをしたんだと思い出す。

「よかったな、大好きな怪盗キッド様にまた助けてもらえて(ニヤニヤ)」

名前の真っ赤な表情が面白くて快斗は茶化す様に名前を睨んだ。

『なっ!///大好きって――』
――そうだ、この前あたしは怪盗キッドが初恋の相手だってウソついたんだった…。本当は違うのに…

ウソだったのと弁解をしようと口を開くが、

「おい!青子!オメーだけだぞ…怪盗キッドの話題に盛り上がらねぇのは(呆)」

「なんで、あんな奴の話題に青子が―――」

と近づいてきた青子に話かける快斗の姿に、名前は目を逸らしてしまった。

――本当は快斗くんが初恋の相手なのに…。でも、今の彼には青子ちゃんという幼馴染がいる…。

相変わらずの仲睦まじい2人の姿に名前は入ることができなかった。
モヤモヤとした胸の違和感が名前を締め付けた。

――やっと、初恋の相手を思い出したのに…。

もう、気持ちも届かないかもしれない彼の後姿を見つめながら、”失恋”という言葉が浮かんでしまった。

そして名前は、”怪盗キッドが好き”という誤解は解かないままにしようと決めた。




22:閉ざされた約束。




「なんで、みーんな怪盗キッド怪盗キッドって…呆れちゃうよ」

ムスッとした表情で青子は腕を組む。

『!?――青子ちゃんは、怪盗キッドが嫌いなの?』

「大っ嫌いよ!あんな奴。盗んだモノを捨てたり、元の持ち主に返したりしてる、善人ぶってる野郎よ!青子の中じゃ断トツ最低男まっしぐらよ!!!!…でも、今回の名前を助けた件については見直したわ…。フン」

『そ、そう…(呆)――ん?何、快斗くん?』

何かの視線を感じると、快斗は不敵な笑みを浮かべていた。

「…!?――青子の前じゃ、怪盗キッドの事がs『快斗くん!?!!!』んぐっ」

名前は快斗の口を塞いで発言を止める。

『ちょっと!(怒)…あはは』

その言葉に快斗は名前を睨む。

「なになに??怪盗キッドがどうしたの??」

『なんでもないよ。怪盗キッドには助けてもらったけど…悪党には変わりないからね…(汗)』

「そうだよ!人を助けても犯罪者は犯罪者よ!…それはさて置き、随分とお2人さんは仲良くなったようで?(ニヤニヤ)」

名前が快斗の口をいまだに押えて密着してる姿に青子は不敵な笑みを浮かべ、するとすばやく自分の席に着いく。

『快斗くんが変なこと言おうとしたからで…///』

「んだよ、本当の事言ってやろうと思っただけだろうが」

『ん〜……「苗字さん!正門にお友達来てるよ?」!?」』

と、クラスの女子生徒が名前を呼んだ。
そういわれて、窓から正門が見えるため、
名前たちは立ち上がり正門を見るとそこに居たのは工藤新一だった。
新一は名前が自分に気づいているとわかったようで、手を振る。

「あれって、あの高校生探偵の”工藤新一”じゃない?!」
「苗字さんを助けたあのイケメン探偵!!」
「この学校に来たってことは…苗字さんともう――」

他にも見ていた女子生徒が黄色い声を上げる。

『…………(なんで、新一がここに)』

「名前ちゃんに何の用だろう―――ってあれ?いない」

青子が気づいた時には名前は教室を後にしていた。


名前が正門にたどり着くなり、新一とその場で何か話している様子を快斗は何食わぬ顔で見つめる。

「アイツ……」

「名前ちゃんを助けた友達かぁ、もし、青子が名前ちゃんだったら惚れちゃうよ〜!」

「へぇ〜。そうですかい」

「かっこいいし、名探偵だし、難解な問題もすーぐ解決しちゃうし。…となると、”怪盗キッド”なんかお茶の子さいさいで捕まえちゃうかもね!ふふ」

「おいおい…(それはねぇけど)「ま、そんなことより、名前ちゃんを取られないようにね〜。いや、もうあの仲じゃ取られてるかも!あはは」」

「オメーな!」
――アイツはただ犯人を捕まえただけで、あのままオレが名前に変装してなかったらどうなってたか!……そもそもアイツを好きなわけねぇ、怪盗キッドが好きって言ってたしよ…。

オレのあの時の淡い期待はすんなり消え去ったわけか…

名前を思い出のあるベンチに連れて行ったあの日。
そして、彼女とキスをしたあの場所。



快斗はさらに怪盗キッドで会ってしまったことを後悔した。











22:閉ざされた約束
To Be Continued...


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