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「おっはよー!名前ちゃん。…昨日、快斗に迎えに来なくていいって言ったんだって?」
昨日の件から快斗は名前を迎えに来ることなく、心配した青子はその話題を持ち掛けてきた。
『あ、うん。ずっと迎えとか送ってもらうのも申し訳なくてね…。それにあたしも用事とかあるからさ』
「そうだったの、バ快斗となんかケンカでもしたのかと思っちゃった!」
『ううん、そんなこと絶対ないよ。青子ちゃんじゃあるまいし!フフ』
「!?…もう、あれは快斗が悪いんだよ――」
と、楽しそうに快斗の事を話す青子に名前は微笑む。
『相変わらず、ほんと仲良いよね』
「ま、幼馴染ですからね!」
『付き合っちゃえばいいのに。』
「名前までそんなこと言うの!?やめてよ、あんな奴と付き合うなんて真っ平ごめんよ」
『フフ』
本心でそんなことを言っているのかウソなのか、青子の態度ではわからなかった。
「で?名前ちゃんはどうなの?恋してる?」
『あ、あたし?!……っ』
急に話題を振られ頬を染める名前の態度に青子は気づいた。
「ももももしかして、か、彼氏できちゃったの?!」
察した青子は呂律も回らないほど驚いていた。少し声が大きい青子に名前も焦り始めた。
『ちょっと、声が大きいよ!…』
「だれ??!」
『ただ、気になってる人がいるだけ。』
キッドに想いを伝え、お互い恋人同士になったのだが、何かと鋭い青子に見破られてしまうのではないかという恐怖にウソを吐いてしまった。
「なんだ〜!青子が知らないうちに彼氏でもできちゃったのかと思っちゃった〜。んで?誰よ!こんな美しい財閥のお嬢様を虜にしたお方は――」
『ええ〜…。後々教えるよ(汗)――(死んでも青子ちゃんに怪盗キッドが好きなんて言えない)』
「絶対だよ!んじゃ、またね」
チャイムが鳴り青子は席に戻って行った。
その後を見送って名前はため息を吐いた。
――どうしよう、どうしよう、どう切り抜けよう…。
そんなことを思いながら不意に快斗の席に視線を向けると、彼も名前を見ていた様でお互いガッチリと目が合ってしまった。しかし、名前は昨日の事を忘れたかのように微笑んだのだ。
目を逸らされるだろうと思っていた快斗は予想外な展開に軽くお辞儀をしてしまった。
「!?……(逸らされると思ったのに、あの笑顔反則。)」
前を向き、昨日名前にしてしまった行為を思い出すと顔中が熱くなるのを感じた。
――やべえ、理性が持たなくて名前にあんなことしてしまった…。いやでも、誘って来たアイツが行けねぇんだからな!…ああ、でもよかった寸止めできて。(汗)
昨日の色っぽい名前の姿を思い出すと、また熱が上がりそうになり持っていた下敷きで熱を冷ます様に扇いだ。快斗も外では気障な紳士を演じているが中身は健全な男である…。
「黒羽?顔真っ赤だけど…オメーもしかして――」
「いや!大丈夫!そんな、卑猥なことなんてk「あ?熱でもあんじゃねぇかって言いたかったんだけど…黒羽、そんなこと考えてたのかよ(呆)」…!?(汗)」
そのあと、男子生徒達に茶化され、女子生徒達には”変態”という名が広まったのは言うまでもない。
「…ほんと、バカね〜」
『あはは…(呆)』
29:変態
To Be Continued...