無印
□壁
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彼は私を拒絶する
お願い、そんな目をしないで
言葉はとても冷たいのに
どうしてそんなに悲しそうなの?
手を伸ばして私の手をとってよ
私はこんなに、あなたが好きなのに
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「私も行く!」
「はぁ?! ついてくんな」
最近、明王がわからない
いや違う、昔からずっとあなたは
私なんかの考えが及ぶとこにはいなくて
私の見えない何かを追っている
だから、少しでも一緒にいたいの
あなたに置いていかれたくない
「明王、私が見てないと危ないことするから」
「るせぇなぁ、てめぇは俺の何なんだよ?!
誰も見ててくれなんて頼んじゃいねーよ」
「……そう、だけど」
またその目だ
あなたは私を突き放すとき
とても辛そうな顔をする
「私が、明王と一緒にいたいの!」
「何言ってんだ?
とにかく、お前は連れてけねぇ」
明王は私に背中を向けた
手を伸ばせばそこにいるのに
私と明王の間には分厚い壁がある
誰も寄せ付けない、冷たい壁がある
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